日経平均株価が年初来安値を更新し、東証一部の売買代金が連日1兆円割れとなるなど「閑散相場」が続くが、個別銘柄に目を転じれば業績も財務体質もいい「超優良企業」があるのも事実。しかも、それらは極めて「割安」な水準に置かれているのである。
では、「超優良企業なのに超割安」という“お宝銘柄”はどうすれば見つけ出すことができるのか。
個人投資家向けに投資情報を提供するカブ知恵代表の藤井英敏氏が絞り込む条件に掲げたのが、以下の5つだ。
【1】時価総額300億円超
【2】ROE(自己資本利益率)7%以上
【3】PBR(株価純資産倍率)1.0倍以下
【4】予想配当利回り2.0%以上
【5】過去3年平均売上高成長率5%以上
まず時価総額が小さい銘柄だと、それだけ取引量が少なく、ちょっと売買が膨らむだけで株価が大きく動いてしまううえに、倒産リスクもある。「そのようなリスクを排除するには時価総額300億円以上がひとつの目安になる」(藤井氏)という。
次に「ROE」は純利益を株主資本(自己資本)で割って算出し、どれだけ効率的に資本を活用できているかを見る指標。藤井氏によれば、「これが7%あるということは複利で運用すれば10年で倍になる計算となり、相当効率的な経営をしていると考えられます」とのこと。
そして株価が割安かどうかを判断するのが「PBR」である。これは1株当たり純資産額(株主資本を発行済み株式数で割ったもの)を株価で割ったもので、これが1倍以下なら会社の純資産額より株式時価総額の方が安いことを意味する。ならば株主にとっては会社を解散して純資産を配分してもらった方が利益になるわけで、過度な低評価である。逆にいえば、それほど「割安」な水準なのだ。
「10年物日本国債の利回りがほぼ1%の時代に、倍の2%以上の配当利回りが見込める企業は株主への配当還元姿勢がしっかりしているといえます。また利益の源泉は売上高であり、それがリーマンショック以降の経済状況の中で5%以上伸び続けているということは、それだけ業績が安定している証拠といえるでしょう」(藤井氏)
投資の初心者は、ただ漠然と「株価が以前より安いから『買い』だ」と判断してしまいがちだ。しかし、「下がれば買う、上がれば売る」という投資行動は、株価が右肩上がりの時にこそ通用する手法で、現在のような情勢では損を膨らますのが関の山だろう。
「株価は将来を映す鏡といわれ、過去との比較は意味がない。重要なのは株価が安くなった理由を考えることです。今の日本はデフレが長引いているというのに、政府も日銀も有効な対策を打てていない。それが株安の最も大きな要因です。
もっともROE7%以上、過去3年の売上高成長率が5%以上といった収益性に配当利回り2%以上という好条件が揃っているのに、PBRが1倍以下というのは間違いなく超割安といえます」(藤井氏)
※週刊ポスト2011年12月9日号