これまで中国をはじめアジアの景気減速懸念が高まってきたが、やはり今後の高成長が期待できるのは「新興国」だ。
銘柄選びに定評のある鈴木一之氏(フィスコ客員アナリスト)は「新興国での需要増が期待できる銘柄」をピックアップする。
「モータリゼーションの発展を睨むと、どんな車が売れるかわかりませんが、何が売れようとタイヤは欠かせない。世界トップのタイヤメーカー・ブリヂストンが存在感を増すのは必至です。
それから畜産栄養素のリジンで世界シェアの2割を持つ味の素は、新興国を中心にこれから世界人口が100億人突破に向かう中で食糧増産のニーズが当面続くのは間違いなく、期待できます。また新興国の工業化に伴って産業用ロボットのファナック、環境問題の高まりから排ガス測定装置を手がける堀場製作所、島津製作所なども有望です」
日刊チャート新聞編集長・澤部潔氏は「来年トップ交代を控える中国に加え、大統領選を控える米国も景気浮揚が至上命題となるため、関連銘柄も動意づく」という。
「中国関連では先ほど挙げた住友重機やコマツ、米国関連ではTDKに妙味。日本を代表するソニーやパナソニックなどの電機メーカーとは一線を画し、同社のような電子部品メーカーは潤い始めています」
また、普及が著しい「スマートフォン関連」も今後まだまだ市場の拡大が見込めるテーマになる。
スマホ関連の王道銘柄を挙げるのは前出・鈴木氏だ。
「筆頭はやはりソフトバンク。auを擁するKDDI、NTTドコモといったライバルの包囲網やアンドロイド端末の勢いもありますが、iPhoneで獲得した先行利得のメリットは大きい。また来年2月に総務省から割り当てられる900メガヘルツ帯を同社が取れば、俄然優位になると見ます」
東京IPO編集長の西堀敬氏が追加する。
「スマホのコンテンツ拡大に伴ってデータセンターのニーズが高まっており、中でも首都圏のITベンチャーの顧客が多いデータセンターを運営するビットアイルに注目」
「新興国」「スマホ」というテーマはこれまでも注目されてきたが、まだまだ裾野の拡大が見込める有望テーマであることに変わりはない。市場拡大に伴ってさらなる有望銘柄が登場してくることも期待できるのだ。
※週刊ポスト2011年12月9日号