22歳の青年が貫く“ジャイアンツ愛”には賛否両論あるにしても、その一途な愛情には悲劇的な結末が待っているかもしれない。
先のドラフトで日ハムから1位指名を受けた東海大・菅野智之は、伯父・原辰徳監督のいる巨人入団を目指して1年間の浪人生活を決めた。ラブコールを送られた巨人は嬉しさ一杯と思いきや、さにあらず。巨人軍関係者は「菅野は欲しい。2位指名なら……ね」と、やけに冷たい物言い。巨人には“浮気願望”があるようなのだ。
「来年のドラフトの目玉は、亜細亜大3年の東浜巨。2008年のセンバツ優勝投手(沖縄尚学)で、152キロの直球と多彩な変化球を持つ。今年のドラフトで3球団が競合した東洋大の藤岡貴裕(ロッテが指名)と同じ東都大学リーグではすでに26勝、17完封。327奪三振は藤岡の4年間より多い。菅野よりも評価は上です」(パ球団スカウト)
しかも「巨」という名にはこんな由来がある。
「父親が大の巨人ファン。家族が巨人入りを願っているのは間違いない」(アマ球界関係者)
巨人サイドも布石を打っている。巨人番記者の話。
「来季から二軍投手コーチになる亜大OBの阿波野秀幸さんです。亜大監督とはツーカーの関係で、復帰は東浜を一本釣りするためだといわれています」
となると、巨人は「1位・東浜、2位・菅野」という戦略か。だが、前出のパ球団スカウトはこういう。
「伊東勤(西武)や大豊泰昭(中日)のように球団職員などで囲い込むケースはあるが、そこには翌年の1位指名を“放棄”してその選手を1位で獲得するという暗黙のルールがあった。もし巨人が菅野の“2位単独指名”をしたら、ドラフト制度が形骸化する。全球団で阻止してみせる」
もちろん、東浜は複数球団の競合は避けられないため、「二兎を追って一兎も得られずでは困る。菅野の1位指名に落ち着くのではないか」との見方もある。それでも前出の巨人軍関係者は、「原監督は事実上の1年契約。成績次第では監督更迭と同時に、菅野指名もなくなる可能性がある」と話す。「夢」は片思いで終わるか。
※週刊ポスト2011年12月9日号