がん研究振興財団によると、2015年には、日本人がかかるがんの1位は、大腸がんになると予測されている。日本人がかかる大腸がんといえば肛門近くの直腸がんだったが、最近は、その上にできる結腸がんが増えている。
「結腸がん患者は健常人に比べ、腸内に『毒素産生型フラジリス菌(ETBF菌)を保有している率が高いといわれています」
大腸がんの予防に詳しい東京医科大学茨城医療センター消化器内科・大原正志教授は、ヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌のひとつ BB536で、大腸がんを引き起こす可能性があるETBF菌を減らせるという研究報告について語った。
「フラジリス菌は腸内にいる常在菌の一種ですが、毒素を出す型と出さない型があります。ETBF菌は毒素産生型で、腸内に慢性炎症を引き起こし、マウスを使った最新の研究では大腸がんを起こすことが報告されています。
ビフィズス菌・BB536を含むヨーグルトを、ETBF菌保有者に摂取してもらったところ、8週間後の便のETBF菌は10分の1にまで減少することが確認されたのです」(大原教授)
ETBF菌を保有しているのかをどのように調べればいいのだろうか? 大原教授はこう語る。
「日本人の約1割がETBF菌を保有していると推測されていますが、腸内細菌群の検査は自費診療で20万円近くかかるので、実際的ではないでしょう。それより40歳を過ぎたら、大腸の内視鏡検査を。昔と違い、3~5分程度で済みます」
年に1度の検査のほか、日々の便の状態からも腸の様子は推測できる。
「便秘ぎみの人、黒色調で固いコロコロ状の便、臭気の強い便が出る人の腸内環境は、ETBF菌に限らず悪玉菌が多い。男性に多い便秘と下痢を繰り返す人も注意が必要」(同前)
便秘の目安は、「便通が週4回以下」といわれている。力まずともストンと落ちるような、水分と繊維の多い黄色調でバナナ形状の便を目指したい。
※週刊ポスト2011年12月9日号