<福島と金沢を行き来する。「東北新幹線で途中、マスクをするのが戦場に帰るために切り替えるスイッチ」だった>
<福島駅近くでサクランボをほおばる幼稚園児の話題。洗わないまま『おいしい』と言って食べる“安全性”のアピール。「これって放送していいの?」と思わずにいられない>
福島テレビを7月に退社した元アナウンサー、原田幸子さん(37)の告白が話題を集めている。
原田さんには6才の長女がおり、子供の健康を考えてのことだろう。3月の大震災以降、実家がある石川・金沢に生活の拠点を移し、職場のある福島との間を新幹線で行き来する日々だった。そんな矢先、2人目の妊娠がわかり、退社を決意したのだという。その原田さんが、11月17日付の北陸中日新聞に実名で登場し、冒頭のような心境を明かしたのである。
原田さんは福島テレビで夕方のニュース番組を担当。原発事故後は、さまざまな報道で福島県の安全性をアピールする立場だった。しかし記事にある通り、実はそうした報道に疑問を抱いていたわけだ。そのため、記事がネットを通じて全国に公開されると、ツイッターには「安全デマの責任もとらず、人として許せない行為」などと非難の書き込みがあふれた。生後2か月の子供がいる福島県いわき市在住の主婦(31)もこう憤る。
「まるで福島に人が住めないようにいいふらすのは信じられない。放射能を気にするか、気にしないかは人それぞれの判断。でも、新聞で発言するなら、福島で生きている人がどう思うかも考えてほしい」
一方で、原田さんの告白を「真実を語ることに意味がある」「子供のことを考えたら賢明な行動」などと擁護する声もある。
渦中の記事では、<報道に携わった者として、経験を自分が話したい>と語っていた原田さんだが、非難されたショックも大きかったのだろう。金沢市にある自宅を訪ねると、言葉少なにこう語るのみだった。
「あの新聞記事を最後にしばらく取材を受けるつもりはありません。そう決めていたんです。ご理解ください」
福島テレビの広報担当者は原田さんの発言についてこう答える。
「報道は確証を持って、正しい情報を伝えております」
※女性セブン2011年12月15日号