通販を中心に約4700万個も売り上げた大ヒット商品『茶のしずく石鹸』の使用者に、アレルギー発症者が相次いだ。
昭和大学医学部内科学講座、呼吸器・アレルギー内科学部門教授の足立満さんはいう。
「今回の問題では、『茶のしずく石鹸』に含まれる小麦由来の成分がアレルギー症状の引き金となりました。石けんを使った後、パンやうどんなど小麦のはいった食品を食べることによってアレルギー症状が出たのではないかと考えられています」
「食物アレルギー」は、3大アレルゲンと呼ばれている卵、牛乳、小麦に反応するケースが多い。そのほかにも、えびやかになどの甲殻類、大豆、そば、ピーナッツ、果物などがあり、特に乳幼児は食物アレルギーの症状が出やすいという。
突然、子供の変化にびっくりしたのは、主婦のAさん(36才)。つぶしたキウイを2才の息子に食べさせていたときのことだった。
「口の周りがみるみるうちに腫れ上がり、呼吸困難になりました。救急車を呼んで病院に連れて行くと“キウイによるアレルギー症状ですね。ときとして強く出ることがあるので注意してください”と診断され、ひと晩入院しました。息子はキウイが大好きでそれまでは普通に食べていたのに。そのときは死んでしまうかと本気で心配しました」(Aさん)
同様の経験をした大人もいる。成人になってから食物アレルギーに気づいた会社員のBさん(42才)だ。
最初は20才のとき、アメリカでステーキにのっていたフォアグラを食べた際のこと。急に吐き気がしてトイレに駆け込むと同時に、意識を失って倒れてしまったという。
「しばらくして意識は戻りましたが、その後もレストランでフォアグラを食べた後は、地下鉄で倒れるなど必ず似たような状態になりました。フォアグラってそんなに頻繁に食べるものではないので、なかなかアレルギーに気づかなかったんです」(Bさん)
そして3年前には魚アレルギーを発症。昼食に「ボラ」を使った料理を食べたところ、会社に戻ると吐き気と呼吸困難の症状が襲ってきた。なんとかフラフラ歩いてデスクに戻ったが、机の上で伏せるしかなかった。少し落ち着いてから帰宅したが、今度は足が猛烈にかゆくなり、見ると一面にじんましんが出ていた。病院に行くと医師から「そういう状態になったら、救急車を呼んで一刻も早く病院に行くべきです」と怒られたという。
前出の足立さんはこう解説する。
「強いアレルギー反応で、アナフィラキシーショックといわれるものです。食べ物や薬物によって、30分以内に誘発されます。まず、じんましんなどの症状が出て、血液から水分が失われ、ショック状態に。さらに気道が狭くなり、血圧が下がるなど全身に反応が表れ、ときには命に危険が及ぶこともあります。
それまでは食べても大丈夫だった食品に急にアレルギー反応が出るのは、決してまれなことではありません。アレルギーと思われる症状が出たら医師に相談してください。油断は禁物です」
※女性セブン2011年12月15日号