大阪のW選挙で大阪維新を掲げた橋下徹氏が圧勝、それを受けてすでに首筋が寒くなっているのが市役所や府庁の職員たちだ。
橋下氏は勝利後の会見で、「選挙戦に政治介入しすぎた職員には潔く市役所を去ってもらう」、「民意を無視する職員は去ってもらう」と匕首を突き付けた。
職員の間には「面従腹背派」が増えているが、大粛清は避けられない。橋下氏は、市営地下鉄や市バスなど市交通局の完全民営化などにより、市職員の3割にあたる1万2000人の削減を公約に掲げた。さらに、「意味の分からない補助金、市職員の給与を見直す」として、給与カット、天下りの全廃も唱える。
市民から同情の声は聞こえない。
「市バス運転手で平均年収800万円弱なんてありえへん。よう遅れるのに。地下鉄が阪神やら近鉄に乗り入れてくれたら、生活は便利になる。橋下サマサマや」
大阪の公務員天国ぶりは「日本のギリシャ」とさえ呼ばれてきた。“本家”では、そのツケを国民に回して経済危機を招いたが、大阪では何が起きるのか。ある市職員OBはこういって肩を落とす。
「ただでさえ、団塊の世代の大量退職で年金給付が増えているのに、財政難で採用を手控えており、年金の構造は逆ピラミッド型になっている。そこにきて給与カット、職員3割減では、早晩破綻するのは火を見るより明らかですよ」
市共済組合HPによれば、2010年度の市共済年金の財政は、組合員数3万5800人に対し、年金受給者は約4万2000人。職員が1万2000人も減ると、1人の現役世代が約1.8人のOBを養うことになる。
収支をみると、職員の保険料収入約170億円などで収入は624億円。支出はというと、年金給付に744億円など計883億円。実に259億円の赤字で、積立金を取り崩しているのが現状だ。職員3割削減となれば、労使折半してきた保険料収入は年間約80億円消える計算になる。
※週刊ポスト2011年12月16日号