ユーロ危機と超円高が燻るなか、日経平均株価もまだまだ下がるという懸念が強い。だからといって、「下がるならまだ買わない方いい」と判断を下すのは、賢い選択肢だろうか。
ここでは、「買い」の株について、少し視点を変えて、どれだけ株主に利益をもたらす企業なのかを見てみたい。それを見極める指標が「配当性向」である。
これは配当支払率とも呼ばれ、当期純利益のうちどのくらいの割合を配当金として株主に還元しているかを示す。3年連続で配当性向が5割を超えた銘柄のうち、配当利回りが4%を超える銘柄を配当性向予想(今期見通し)の高い順に並べた。なお、配当を減らしている企業は対象外とした。
1位:ジャステック(配当利回り6.48%)
2位:シーエーシー(配当利回り5.34%)
3位:内田洋行(配当利回り4.88%)
ランキング作成に協力してくれた投資情報会社・フィスコの小中優氏が解説する。
「配当性向とは、会社側が株主に対していかに積極的に利益還元姿勢を示しているかを見極める指標になります。基本的には会社が儲かったお金を株主に『ありがとうございました』と配当を出すわけですが、それでも中には赤字でも配当を出している会社があり、必ずしも会社の業績とは連動していない点は注意したいところです。
また、配当性向が高くて株主還元に積極的なのに、配当利回りが高いということは、それだけ株が売られて割安で放置されている銘柄という見方もできます」
次に、史上最高水準の超円高が続く中でも、海外における売上高を大きく伸ばした企業を並べてみた。別表は、いずれも3月期決算で今年4~9月期の連結売上高が200億円以上ある企業(金融・電力・新興市場を除く)のうち、今年4~9月期の海外売上高比率と前年同期の数字を比較して、その増加率をランキングしたものだ。
1位:タカラトミー
(海外売上高比率の増加率22.2ポイント、海外売上高比率41.7%)
2位:千代田化工建設
(海外売上高比率の増加率17.3ポイント、海外売上高比率62.8%)
3位:ナカノフドー建設
(海外売上高比率の増加率12.8ポイント、海外売上高比率36.4%)
少子高齢化や人口減少の進展などを背景に国内市場の縮小を懸念する声は強い。内需が伸び悩む中、「各企業が今後成長の見込める新興国を中心とした海外に活躍の場を求める動きを活発化させているのはごく自然な流れ」と分析するのは、投資情報提供会社「T&Cフィナンシャルリサーチ」の日本株情報部マネージャー・剣持和正氏である。
ここにランクインした銘柄は、いずれも世界と伍して戦える実力を備えているからこそ、海外売上高を急速に高めることができている。ぜひ参考にしていただきたい。
※週刊ポスト2011年12月16日号