【書評】『スウィート・ヒアアフター』(よしもとばなな/幻冬舎/1155円)
交通事故でお腹に鉄の棒がささりながら奇跡的に助かった小夜子は、その際即死した恋人の洋一の残した作品を整理するため、東京と京都にあるアトリエを行き来する生活を送っていた。
〈小夜ちゃんは、きっと事故でまぶいを落としてきたんだね〉。沖縄生まれのバーのマスターが語るまぶい(魂)の話に、小夜子は事故後に見えるようになったこの世にいない“人々”に思いを巡らす。死と生の意味をかみしめる、優しく心に響く再生物語。
※週刊ポスト2011年12月16日号