政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで強制起訴された民主党元代表・小沢一郎氏の公判が続いている。小沢氏の「政治とカネ」問題の本質を突く疑惑に、ジャーナリスト・松田賢弥氏が迫る。
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民主党元代表・小沢一郎が2012年1月、法廷の証言台に立つ。この公判では、小沢の資金管理団体「陸山会」での政治資金収支報告書への4億円の不記載について、元秘書と小沢の共謀があったかなどが問われている。また、陸山会の巨額不動産所有は小沢ファミリーの資産形成のためではないか、という疑念も焦点となっている。
小沢夫人・和子の資産も政治資金と無縁ではない。
小沢が世田谷区深沢に無借金で1919平米の豪邸を建てたのは43歳で自治大臣に就いた1985年のことだった。この本宅とは別に和子名義で敷地内へ“別館”と言うべき2階建ての家屋が建てられたのは2002年。その建築にあたり、和子は土地・建物を担保に3億5000万円を借金しわずか5年後の2007年に完済している。潤沢な資金力に瞠目せざるを得ないが、和子名義の不動産はこれだけではない。
和子は1995年、小沢邸の裏側に2棟の秘書邸を建てていた。また、小沢の敷地と地続きで1986年建設の2階建て(延べ床面積336平米)の物件があり、所有者は地元地主・Aだが、和子はその物件をAから賃借している。
問題はここからだ。和子は、自らが所有する小沢邸裏の秘書邸と、Aから賃借した建物を、小沢の政治団体に貸し、政治資金から家賃収入を得ていたのだ。政治団体とは何の関係もない和子に、小沢が言うところの「政治資金という浄財」が流入していたのである。このことが露見したのは公判での指定弁護士側の冒頭陳述で、そこにはこうある。
〈(小沢の政治団体)陸山会、政経研究会、誠山会は、和子から建物を賃借し、平成12年(2000年)以降は毎月合計344万円の賃料を支払っている〉〈金額も多額である上、(政治団体が)政治献金や政治資金パーティ等によって集めた「国民の浄財」である政治資金の使途としてその合理性に疑問〉
毎月344万円となれば、年間4000万円以上である。
小沢ファミリーのカネと政治資金が渾然一体となった資産形成の全貌が公判の中で徐々に明らかになってきている。(文中敬称略)
※SAPIO2011年12月28日号