最近では、子供はいない代わりにペットが子供も同然という人も多いだろう。しかし離婚の際、ペットは「人」としてではなく、椅子や机と同じ「動産」として財産分与の対象となる。所有者を決めることはできるものの、面会などに関する約束は「口約束」にすぎない。
これまで2万件を超える離婚相談を受けてきた『離婚110番』代表の澁川良幸さんはいう。
「調停や裁判でどちらのものにするか決めることはできますが、子供の面接交渉のような取り決めはできないんです。離婚後の散歩やお泊まりといった取り決めは、ただの約束であって、法的拘束力は発生しません」
それゆえ、さまざまなトラブルが起きているのが現状だ。
結婚2年目にラブラドール・レトリーバーを飼い始めたA子さん(32)は、3年前に離婚。その際、「親権」を主張するも、夫が引き取ることに。
「私にとって犬は自分の子供と同じ存在。でも、夫は自分の母親も一緒に暮らすので犬が寂しがることもないし、それまで住んでいた家で引き続き快適に過ごせるということを主張して引き取ってしまいました。“会いたいときに、双方の話し合いで会いに行ってもいい”というアバウトな約束をさせられましたが、会いに行きたいと連絡しても向こうの母親が、何かと理由をつけては会わせてくれないんです」
離婚問題に詳しい『段林法律事務所』の段林和江弁護士は、ペットに関する法整備の遅れを指摘する。
「ペットに関しては子供の親権みたいな概念はありません。あくまで財産として分配されてしまうのです。これから、子供さんがいないご夫婦や、ひとりで暮らす人も増えるでしょう。ペットを“物扱い”するのは、今後ますます人々の感情にそぐわなくなるでしょうね」
ちなみにヨーロッパやアメリカなどでは、ペットの親権について裁判で争うケースが増えてきているという。
※女性セブン2011年12月22日号