スポーツ

コストパフォーマンスでは巨人・澤村はダルの30倍オトク

費用対効果をプロ野球の世界に持ち込んだ大リーグ・アスレチックスを描いた映画『マネーボール』が話題だ。この手法で日本のプロ野球選手たちの「費用対効果」を算出してみたらどうなるか。

算出方法は単純だ。先発投手なら「クオリティスタート(QS)数(※)」、中継ぎなら「ホールドポイント-負け数」で年棒を割ったのである。

まずは先発投手からみていこう。両リーグ通じて最もコストパフォーマンス(コスパ)が高かったのは、今年のセ・リーグ新人王・澤村拓一(巨人)である。1回のQSにつきかかった費用は60万円ジャスト。5億円プレーヤー・ダルビッシュ有(日本ハム)であれば、1回のQSに1851万円もかかる。澤村ならダルビッシュの30分の1の予算でQSが得られるのである。

ただしダルビッシュと杉内俊哉(ソフトバンク)は、ギャラも高いが確実性が段違いだ。QS達成率はそれぞれ96%、91%。今年沢村賞を受賞した田中将大(楽天)とあわせ、QS率90%以上は3人だけだ。コストが同等にもかかわらずQS率65%の涌井秀章(西武)は、両リーグのエース級で最もコスパが悪かったことがわかる。

新人投手は澤村以外にも広島・福井優也がランクインしたが、QS率が物足りない。注目の斎藤佑樹(日本ハム)は、1回のQSにかかるコストが187.5万円。QS率は42%だった。

セットアッパーでは阪神が「外れ」をつかんだ。今季出番の少なかった久保田智之は1ポイントにつき2000万円! 致命的な救援失敗が記憶に残る小林宏之は1470.5万円である。日本シリーズで無死満塁のピンチを切り抜ける大活躍を見せた森福允彦(ソフトバンク)は66.6万円だから、小林は20倍のコストがかかったうえに、全く成果を上げられなかったことになる。

ベスト・スターター セ・リーグ
1.澤村(巨)60万円
2.高崎(横)100万円
3.福井(広)136.3万円

ベスト・スターター パ・リーグ
1.塩見(楽)100万円
2.中山(オ)166.6万円
3.唐川(ロ)181.5万円

ベスト・セットアッパー セ・リーグ
1.久古(ヤ)43.4万円
2.榎田(神)45.4万円
3.篠原(横)66.6万円

ベスト・セットアッパー パ・リーグ
1.増井(日)53.3万円
2.森福(ソ)66.6万円
3.ミンチェ(西)88万円

ワースト・セットアッパー セ・リーグ
1.岩瀬(中)7166.6万円
2.久保田(神)2000万円
3.小林(神)1470.5万円

ワースト・セットアッパー パ・リーグ
1.大谷(ロ)計測不能
1.スパイアー(楽)計測不能
2.江草(西)2000万円

※144回の規定投球回に達した投手のみを調査。クオリティスタート(QS)とは先発投手が6イニング以上投げ自責点3以内に抑えた時に記録され、メジャーリーグでは投手の安定感を示す指標として使われる。各選手の年俸(出来高を除く)をQS数で割った。各選手の年俸は『週刊ベースボール増刊 2011プロ野球全選手カラー写真名鑑』を参照。小数点第2位以下切り捨て。

※週刊ポスト2011年12月23日号

関連記事

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン