1980年代に日本人男性が海外買春ツアーを組んで押し寄せていた台湾が、約10年ぶりの「売春合法化」に舵を切った。
11月4日、台湾の立法院(国会に相当)は売春について規定している社会秩序保護法の改正案を可決し、即日施行。これにより、自治体が希望すれば「売春特区」(正式名称は「性工作専区」)を設けることができるようになった。いわゆる赤線地帯の復活である。
もともと台湾では、日本統治下の公娼制度を受け継ぎ、戦後も台北の「華西街」などの巨大赤線地帯が繁栄、全土で数千人の公娼が働いていた。ところが、元人権派弁護士の陳水扁(のちの台湾総統)が1994年に台北市長に就任し、台北市の浄化運動を展開。
2001年に台北市の赤線地帯が消滅し、全国にも波及した。現在、内政部(内務省)の許可を受けた売春宿は台湾全土で11軒、計49人の公娼がいるだけだった。
台湾研究フォーラム会長の永山英樹氏が解説する。
「台湾では性産業の存在に肯定的な声が多く、娼婦に対する理解もある。今回の法改正は馬英九政権の票集めパフォーマンスともとれますが、いずれにせよ台湾を訪れる日本人観光客は間違いなく増えるでしょう」
※週刊ポスト2011年12月23日号