一般的に投資市場が形成されているコモディティ市場(商品市場)には、金や銀、プラチナといった貴金属をはじめ、原油やガスなどのエネルギー、アルミニウムや銅などの非鉄金属、大豆やトウモロコシ、小麦などの農産物などがある。
では、どんなコモディティを投資対象に選んだらよいのだろうか。商品先物取引を扱う「第一商品」アナリストの小野孝氏は、商品別の相場観を以下のように分析する。
まずは金だが、チャートを見ても長期的に価格上昇を続けている。その年間の値動きを見ると、秋から年末にかけて値上がりするのが例年の傾向だ。
「この10年以上にわたり、リーマンショックの年(2008年)を除き、10月に買って翌年の1~2月に売っていれば、必ず儲けが出ていた」(小野氏)
銀は、基本的に金に準じた値動きをするが、その一方で投機的な動きがあるのが特徴で、注意が必要だ。欧米では金より銀が好まれており、インフレになると先に銀が買われる。そのため、日本の市場にも海外資金が入りやすく、投機的な値動きが出る要因となっている。
プラチナは、金の2か月遅れのタイミングの値動きをする傾向があるので、年末から3~4月にかけて上昇する。つまり、今が仕込み時ということだ。
原油の特徴は、日本市場では多くのコモディティが米国市場の動きに連動する傾向が強いのに対し、それとは違う動きが見られることだ。ニューヨーク市場の原油価格は、6~10月に値上がりし、10~1月に下落するのが例年の傾向だが、東京市場は1月から上がることが多い。
また、原油の実需は気候に左右されるので、米国に寒波が来ればニューヨーク市場での価格は上がるが、一方で日本が暖冬であれば、東京市場の価格は上がらないといった事情もある。
欧州の財政金融危機などに伴う世界的な株安による損失を埋めるため、ヘッジファンドなどが換金売りを加速。そのため、9月以降は下落基調となっているトウモロコシや大豆はどうだろうか。
世界のトウモロコシ、大豆の取引価格を決める上で重要な指標となるのがシカゴ市場(マーカンタイル取引所)の値動きだ。その過去26年間の毎月の価格平均値を見ると、トウモロコシは11月に、大豆は10~12月に年間の底値を付け、その後はどちらも4月ぐらいまで上昇するという傾向が確認できる。
「この経験則からいえば、トウモロコシと大豆は年末から来年にかけて値上がりが見込まれる。しかも、現在の価格は、例年以上に下落幅が大きかったので、大きなリバウンドが期待できそうです」(小野氏)
それを狙って、今こそが買いを入れる絶好のタイミングだというのである。
※週刊ポスト2011年12月23日号