日本の既婚男性たちが青ざめる“事件”が、フランスで起きた。
裁判所が、数年間セックスレスだった末に離婚した男性に対し、「性交渉が少なすぎた」と訴えた元妻側へ、1万ユーロ(約105万円)の慰謝料を支払うよう命じたのだ。11月29日発行の判例集によると、判決があったのは今年5月。夫婦はともに51歳で、25年前に結婚。2人の子供をもうけたが、2009年1月に離婚し、今回の訴訟に発展した。
判決文は、「婚姻関係にある男女にとって性的関係は相互の愛情表現であり、婚姻から生じる義務の一部でもあり、そうした意味から妻の主張は正当だ」と述べ、元妻が被った結婚生活の苦痛への賠償を認めた。一方、元夫側は体調不良と過労が原因だと主張したが、「妻と性的関係を持てないほどの健康問題は認められない」と斥けられている。
この判決はフランスで大きな波紋を呼んだ。日本ではNHK朝の情報番組『あさイチ』で特集が組まれるほど社会問題化しているセックスレスだが、恋愛大国フランスにもその陰が忍び寄っているということか。
在仏の日本人ジャーナリストの見解はこうだ。
「むしろ逆ですよ。フランスでは60歳以上の熟年夫婦でも週1回程度のセックスが平均で、セックスレスの夫婦など例外中の例外です。特に女性は『40歳を超えてからが魅力的』とされていますから、この妻が不満を持つのは当然。その上で、賠償はさすがにどうかとか、単なるカネ目当てじゃないかとか、さまざまな議論を呼んだのです」
※週刊ポスト2011年12月23日号