“水分補給”と聞くと、夏の問題だと思いがちだが、じつは冬こそ、“体内の水分不足”を意識した積極的な水分補給が大切だ。
昨今、日本の冬の外気の乾燥は年々ひどくなっており、意識して水分補給をしなければ当然、体内の水分も不足する。しかし、夏のように“汗”がサインとして表れず、のどの渇きを感じにくいため、知らぬ間に体がカラカラに乾いていることも。この状態が風邪やインフルエンザなどにかかりやすい落とし穴になる。
「風邪のウイルスなどは低温で増殖する性質があります。冬に風邪をひきやすいのはそのためですが、もうひとつ注目すべきは体内の水分。ウイルスなどが鼻や口から侵入したとき、最前線で防御するのが気管支の粘膜にある“線毛”と呼ばれる細かい毛。線毛がほうきで掃き出すように動き、体内への侵入を防いでいるんです」
そう語るのは、東京女子医科大学教授の玉置淳さん。線毛の活発な働きには、湿度が重要な役割を果たすという。
「線毛の働きには、通常、湿度100%に保たれた気管支内のうるおいが必須です。体内の水分が不足したり、気管支内に乾いた空気が通ったりして湿度が下がると、とたんに線毛の動きが悪くなり、ウイルスなどの侵入を許してしまうことになるのです。私たち人間は、普通の生活の中でも1日約2500mlの水分が排出されているため、食事などから同じくらいの水分補給が必要です。風邪予防の最前線である線毛の運動を活発にするためにも、しっかり水分を摂りたいですね」
※女性セブン2011年12月22日号