IT全盛のこの時代に、なぜかアナログ代表とも思える“手書き家計簿”が人気だ。カリスマ講師・細野真宏さん著『つけるだけで「節約力」がアップする家計ノート』(以下、『家計ノート』)は2009年の発売以来、記録的に部数を伸ばし、毎年完売する人気ぶり。実際にその『家計ノート』をつけている主婦のリアル家計簿を、今回特別にのぞかせてもらった。
東急8400円、キノクニヤ1105円、伊勢丹852円――東京都立川市で生花店を営むAさん(59才)の『家計ノート』をめくると、2010年4月ごろまで、駅前のデパートや高級スーパーでの買い物が毎日のように記されている。
「改めて見返してみると、『おい、おい、おい』と自分にツッコミを入れたくなりますね」とAさんは苦笑する。
『家計ノート』をつけ始めたのは2010年1月から。家計簿歴は5年。それまでは別の家計簿をつけていたが、たまたま書店で出合った『家計ノート』のデザインに魅かれ購入した。
それから約2年。夫と2人の娘と暮らすA家の家計は、大きく変わった。食費は月平均で2万円ほど減り、電気代などの光熱費も月平均1万円節約できるようになったのだ。家計簿をつけてみることで初めて気がつくことは多い。Aさんが振り返る。
「『家計ノート』をつけて4か月くらい経ったころでしょうか。入学シーズンが過ぎて生花店の仕事も落ち着き、何気なく『家計ノート』を振り返ってみたんです。すると、毎日の買い物の記録が、デパ地下のサラダや揚げ物、刺し身ばっかりでした」(Aさん)
なんでこんなに無駄遣いしているんだろう――自分の心を見つめたAさんは、知らない間に、いろいろな甘えが生じていたことに気づいた。
「デパ地下で買っているときの心境って、買うための理由探しだったのかな。“働いて忙しいからこれくらいはご褒美”“自分でこれだけ豪華なおかずをつくったらもっとお金がかかっちゃう”って。料理でラクをすることの罪悪感を打ち消していたんです。気持ちが緩んでいるから財布のひもも緩んじゃう。100g248円と書かれたサラダを、1パックの値段だと間違えて大量にレジに持って行ってしまい、レジで気づいたけど恥ずかしくて全部買ってしまったこともありました」(Aさん)
※女性セブン2012年1月1日号