13歳だった横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから、2011年11月15日で34年となった。日本政府はこの問題について数年の間、何の進展もさせられないできた。娘の帰りを待ち続けてきた横田滋・早紀江夫妻に、辛く長い戦いの中での心境と、今後日本政府の取るべき姿勢について、落合信彦氏が聞いた。
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落合:以前ご夫妻にインタビューさせていただいたのは2003年のことだった。あれからもう8年が経ちました。
早紀江:2002年に小泉(純一郎=当時首相)さんが初めて北朝鮮に行かれて、2回目が2004年。ちょうどその間のことでしたよね。
落合:その間、日本政府からめぐみさんが帰ってくると手応えを感じられるような情報はもたらされましたか?
滋:いえ、そうしたものは何もないですよ。
早紀江:2004年の時は、帰国されたその日に小泉さんに直接聞いたんです。「本当にめぐみは生きてると思ってらっしゃるんですか? それとも死んだと思ってらっしゃるんですか?」って。でも、「それはわからん」としか言われませんでした。たった一言、それだけですよ。だから、本当にわかりません。
落合:私は前にお二人にお会いしてからも何度か、中国と韓国で脱北者の取材をしました。国家安全保衛部にいた人間もいますが、彼らの多くはめぐみさんの存在について知っているし、「率直に言えば今も生存しているはずだ」と言います。私も彼女は100%生きていると信じている。日本政府だって頭を使って動けば情報を得られるはずなのに、有効な手を打てていない。民主党政権が誕生して2年以上、何も進んでいないでしょう。
滋:鳩山(由紀夫)さんは民主党の拉致対策本部の初代本部長でしたから、何かしてくださるんじゃないか、と期待しましたけど、結局ご自身と小沢(一郎)さんの政治資金の問題で、何も変えられないまま辞められてしまった。
早紀江:自民党政権時代、福田(康夫)さんの時も期待していました。はっきりと、「私の代でこの問題を解決しますから」と拉致被害者家族の前でおっしゃったんです。それなのにあっという間に辞められて、その理由も私たちには全くわかりません。
※SAPIO2011年12月28日号