芸能

田中好子さん 飲み会が大好きでなかなか帰ろうとしなかった

 東京・青山葬儀所で営まれた葬儀の場で突然、死の3週間ほど前に録音したメッセージが流れた。葬儀の祭壇を手懸けた映画美術監督の稲垣尚夫さんがいう。

「ぼくらも聞いていなかったので驚きました。最初は誰かが真似しているのかと思いましたが、本人だとわかって涙がこみあげました」

 田中さんは1970年代に一時代を築いたアイドルグループ、キャンディーズの一員として愛され、解散後は女優に転身した。光り輝く道の真ん中を歩きながらも55才にして道が途絶える悔しさを、最後のメッセージに込めた。

<映画にもっと出たかった。テレビでもっと演じたかった。もっともっと女優を続けたかった>

 1989年公開の映画『黒い雨』(今村昌平監督)のクランクイン前の打ち合わせで田中さんと初めて出会った稲垣さんには、忘れられない思い出がある。打ち合わせ後に田中さんらと訪れたスナックで、一般客の女性ふたりがカラオケでキャンディーズを歌いだしたときのことだ。

「それを見た田中さんは『あんなだったわー。フリを思い出してこよう』とつぶやいて、次の飲み会からキャンディーズの歌を歌うようになりました。ぼくも『年下の男の子』のダンスやバックコーラスをやらされて、恥ずかしさもあったけどすごく楽しかったですね。彼女もめちゃめちゃ楽しそうでした」

 快活な人柄で誰からも愛された田中さんは、撮影スタッフとの飲み会が大好きだった。

「マネジャーが『好子さん、そろそろ…』と促してもなかなか場を立とうとせず、 『いいもん、もし私をむりやり連れて帰ったら、家でコップ酒をあおってやるから』という姿がすごくかわいらしかった」(稲垣さん)

 いつも太陽のように朗らかだった田中さん。その性格の根っこには、思いやりと気遣いがあった。葬儀では、東日本大震災を受けてこんなメッセージも流れた。

<私も一生懸命、病気と闘ってきましたが、もしかすると、負けてしまうかもしれません。でもそのときは必ず、天国で被災されたかたのお役に立ちたいと思います。それが私の務めと思っています>

※女性セブン2012年1月1日号

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