拉致問題は、韓国政府が日本をはじめ、被害者の出ている国の政府と連携して解決に向け取り組んでいくことが理想である。だが、残念ながら現実は異なっている。韓国拉致被害者家族会代表の崔成龍氏が報告する。
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拉致問題や拉致被害者の家族とは、韓国政府にとっては実のところ厄介な存在で、できればこの問題で騒ぎたくはない。騒がなければ、北朝鮮をむやみに刺激しないで済むではないか。それに、北朝鮮のほかの問題に集中することもできる。そういう雰囲気が漂っているように思えてならない。
こうした状況は、もしかすると日本でも同じなのではないだろうか。
拉致を実行した巨大組織が、ひとつの国家という体裁を維持しながら日韓両国のすぐ脇に今でも横たわり、知らん顔を貫いているのだ。それが、拉致被害者とその家族、そしてその他の国民ひとりひとりにとって、今現在どのような意味を持ち、近未来でどのような意味を持つのか。そのことを、日本人の皆さんにも現実の問題として捉え、考えていただきたい。
もはや、無駄に過ごす時間はないのである。
※SAPIO2011年12月28日号