フリーライターの鈴木智彦氏は、下請け企業の作業員として福島第一原発(1F)で働きながら、週刊ポストで潜入レポート「僕は原発作業員」を連載し、12月16日にはそれらをまとめた『ヤクザと原発』(文藝春秋刊)を刊行する。
鈴木氏は、下請け企業の作業員として東芝製の汚染水浄化装置、通称「サリー」の設置作業を手伝い、現場の過酷さを痛感したという。
「タイベック(防護服)に全面マスクは本当にしんどい。私は作業1日目にトイレを我慢しすぎて小便を漏らし、2日目には暑さに耐えきれず熱中症で倒れました。幸い、失禁は靴まで垂れなかったので誰にもばれなかったし、熱中症の際は同僚が私を抱えて運び出してくれました。そのとき録音していたICレコーダーを聞き直すと、『死ぬ。死ぬ。マジで死ぬ』と呪文のように繰り返していた(苦笑)。
私のいた業者は日当1万5000円で、日によっては0.6ミリシーベルト/時も被曝していたので、割のいい仕事とはいえない。それでも、すぐに収束するわけがないんだから、誰かがやるしかないんです」
鈴木氏はその後、ICレコーダーを回していたことが現場監督に知られ、1Fを離れることになった。彼の累計被曝線量は、まだわかっていない。
※週刊ポスト2011年12月23日号