映画『マネーボール』が話題だ。米メジャーリーグ・アスレチックスGMのビリー・ビーンが実践したマネーボール理論は、かつては重要視されなかった出塁率などのデータから費用対効果の高い選手を割り出し、獲得するというもの。これを日本のプロ野球界に当てはめ、ヒット1本あたりの年棒をはじき出してみると、巨人・阪神の“無駄遣い”が目立つ。
かつては腰痛で戦列を離れることが多かった高橋由伸だが、今年は95試合出場と、ある程度戦力として機能した。しかし働きにコストがあわない。ヒット1本の値段は実に555万円。巨人にはまだまだ戦犯がいる。統一球の影響からか不振にあえいだキャッチャーの阿部慎之助は1本350万円。小笠原道大に至っては1本632万円である。
12球団で最も平均年俸の高い阪神(5546万円)も同様だ。金本知憲が1本460万円、ケガでシーズン途中に戦列を離れた城島健司は、ヒット1本1600万円という天文学的な数字となった。パ・リーグ関係者がいう。
「日本ハムなどメジャー式の査定方法を採り入れている球団もあるが、日本の球団の年俸体系はいまだに年功序列制度が根強く残っている。高年俸選手は3割ダウンが限界で、それを通告することは“イコールクビ”という感覚がある。一度上がった給料はなかなか下げにくい。阪神はこれからも大変でしょう」
※週刊ポスト2011年12月23日号