13歳だった横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから、2011年11月15日で34年となった。めぐみさんの両親・横田滋・早紀江夫妻は、政府からの情報が足りないと嘆く。この件について落合信彦氏が夫妻に聞いた。
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落合:平壌にいる韓国と日本から拉致された人々の中でも最も重要な人たち、100人以上と言われていますが、彼らが居住地を平壌郊外の特別地区に移されたんです。移動は金正恩の命令だとされています。一か所に集められた拉致被害者たちは、これから先の日本や韓国との交渉に利用されるのではないかと見られています。
そこにはやはり、めぐみさんがいる可能性が高いと私は見ている。このことは、韓国の拉致被害者家族会の代表が韓国誌『月刊朝鮮』のインタビューで話しています。日本政府はこの情報に対してアクションを起こしているのか、甚だ疑問です。それにしても外務省からの説明や連絡はないんですか。
早紀江:一切聞かされません。だから、そういう記事をたまたま見ているかどうかということになってしまいます。
滋:最近の『週刊朝鮮』に出ていた平壌の住民票データの話は私たちの耳にも入ってきてよかったですが、それも政府や外務省から直接聞いたわけではありません。外務省とはもう、直接のやり取りはほとんどないんです。民主党の拉致対策本部の役員会があって、外務省からヒアリングをした時に傍聴するようなかたちで出席し、横で聞けることはありますが、その程度のことになってしまいました。
落合:どういう情報があって、何に取り組んでいるのかを拉致被害者のご家族と共有しないのは驚きを通り越して怒りさえ感じます。ご家族の気持ちを慮っているとは思えない。
早紀江:増元(照明・家族会事務局長)さんなんかは、「不確定でも、こういう情報がある、ということを家族に教えていただけませんか」と外務省との会合でおっしゃるんですよ。そうするとあちらは「いや、曖昧な時にお知らせすることは絶対にできません」とはっきりおっしゃるから、そうするともう何もできません。
落合:体のいい逃げ口上ですね。一番大切な人々を無視して、他人事のように振る舞っている。権力のアロガンス(傲慢さ)だと私には思えます。
※SAPIO2011年12月28日号