12月1日に記者会見で野田佳彦首相(54)は、「皇室活動の安定性という意味から、たいへん緊急性の高い課題だと認識している」と語り、「女性宮家」創設を検討することの重要性を述べ、皇室典範改正に関する有識者会議を発足させたいとの意向を示した。
現在、様々なメディアで展開されている女性宮家創設をめぐる議論だが、当事者である女性皇族のかたがたは、いったいどうご覧になっているかのだろうか。宮内庁の有力OBはこう話す。
「女性宮家創設が皇室典範改正を前提にしている以上、これは政治問題でもありますから、本来なら皇族が意見表明することはできないのです」
その意味で、秋篠宮さま(46)が、去る11月30日の誕生日に際した会見で、「(今後の皇室のあり方については)私、もしくは皇太子の意見を聞いてもらうことがあってもよいと思っております」と話された意義は大きい。
「女性宮家創設論が浮上しつつあることを前提にしたご発言であることは間違いありません。その議論が、陛下をはじめ当事者である各宮家のお考えと離れたものにならないよう、釘を刺されたのではないでしょうか」(同OB)
このOBはそのうえで、皇室内部に通じているからこその危惧を明かした。
「女性宮家創設論と、女性・女系天皇論は確かに表裏一体の問題です。しかし、皇室典範改正に関する議論だけでは解消しない問題があります。それは宮中祭祀のあり方です」
宮中祭祀とは、ご公務とは別に、天皇陛下が国民の幸福と繁栄を祈って行う祭典を指し、農作物の豊穣に感謝を表す新嘗祭(11月23日)や、五穀豊穣を祈る四方拝(元旦)など、年間30前後もある。
例えば四方拝は大晦日の深夜から元日の早朝にかけ、暖房など一切ない宮中で行われるもの。お体へのご負担は計り知れず、天皇陛下が過日、肺炎の治療から退院されたばかりの今回は、行われない見通しとなっている。
「ご多忙のご公務に加え、そうした過酷ともいえる祭祀を、女性天皇が続けられるのはいかがなものか。また、宮中には女性の生理や出産にともなう産褥を“けがれ”ととらえる考え方があります。そのため、女性の潔斎(沐浴などをして身を清めること)にはことのほか厳しいのです」
前出のOBはそういって、女性・女系天皇について議論するのであれば、「それら祭祀のあり方についても考えなければならない」と指摘した。
※女性セブン2012年1月1日号