1930年に前身の教育団体、創価教育学会が誕生してから81年、戦後高度成長と時を同じくして爆発的に増やした信者数は、1000万人以上ともいわれる。創価学会という特異な宗教団体と池田大作というカリスマ指導者に迫った週刊ポストの連載『化城の人』。ノンフィクション作家・佐野眞一氏は、“池田会長重態説”についてこう綴る。(文中敬称略)
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創価学会が不気味な沈黙をつづけている。池田大作名誉会長が公式の場から姿を消してすでに一年半あまり経つからである。東日本大震災に際しても、宗教団体のトップなら当然出すべきコメントも出していない。これはどう考えても、創価学会にただならぬ事態が起きている証拠である。いま池田大作の周辺には、不穏な噂ばかりが広がっている。
脳梗塞の後遺症による発語障害があり、完全看護の車椅子状態。認知症も進行し、大幹部の顔すら分からなくなっている……。池田大作重態説は日を追って真実味を増し、Xデーへのカウントダウンも始まったと言われる。
創価学会がトップの病状をひた隠しに隠すのは、いまに始まったことではない。二代目会長の戸田城聖は昭和三十二(一九五七)年十一月、肝硬変で病床に着いた。だがこれは極秘とされた。「聖教新聞」は翌年四月二日に五十八歳で急性心不全により死ぬまで、「かぜ気味」「流感にかかっただけ」「いまは全快」とウソをつきつづけた。
池田は二〇一二年一月二日の誕生日がくると、八十四歳になる。創価学会は本来なら盛大に誕生祝を行いたいところだろう。なにしろ学会員からは“生き仏”とまで崇められた人物なのである。
だが、誕生日を祝う場に池田大作が臨席することは、それこそ宗教的奇蹟でも起こさない限り、まず絶望的である。創立八十二年を数える創価学会は、創立以来の重大な転機を迎えている。池田大作亡きあとの創価学会はどうなるのか。入信歴四十年というある幹部は、絶対匿名を条件にこう語る。
「はっきりした予想は難しいけど、現執行部による集団指導体制になると思う。というのは、池田が以前から世襲制を否定しているからだ。池田がそう約束している以上、女房の香峯子や長男で創価学会インタナショナル副会長の池田博正にあとを継がせることは、いくらなんでもできない。
いまの執行部が『池田先生の教えではこうなっている』と、池田の遺した言葉を利用しながら指導していくしかないと思う。第一、池田の女房にしても息子にしても、池田のようなカリスマ性はない。カリスマ的会長は池田の時代で終わりだね」
(連載『化城の人』第1回より抜粋)
※週刊ポスト2012年1月1・6日号