都会の喧噪から離れた実家や、夫や子供と暮らす自宅のあるその街からは、車で約40分の場所だった。すぐ目の前を首都高が走るそのマンションは、都心のど真ん中に建っていた。
2011年12月、辻希美(24)はそのマンションの住人となっていた。彼女はいつもここに、ボアつきのフードを頭からすっぽりかぶり、黒縁眼鏡にマスクといった“完全武装”で出入りする。それでも不安なのか、マンション周辺では、いつも少しうつむき加減で歩いていた。ある芸能関係者はこう証言した。
「そこは辻ちゃんの“別宅”です。彼女が自分で探して借りた部屋なんですよ。離婚を覚悟してのことみたい…」
辻は杉浦太陽(30)と結婚した直後から大きな悩みを抱えていた。それは杉浦の父親の金銭トラブルだ。
父親は元プロ野球選手だったが、退団後、不動産ブローカーのような仕事をするように。そして2、3年前から、複数の人から、借用書や印鑑証明書と引き換えに数千万円~1億円もの大金を受け取るも、いずれも返済することなく行方をくらましていた。2011年8月23日には杉浦の所属事務所に暴力団組員が乗り込む事件も起きた。
「杉浦の父親に1億円近い金を貸したのに返さない。父親の居場所を教えろ」
そう迫る組員は、興奮して応接室の椅子をキャビネットのガラス戸にぶつけて割り、器物損壊の疑いで現行犯逮捕となった。
「太陽くんの両親は20年以上前に離婚しているんです。彼は母親に育てられてきたから父親とは絶縁状態。とはいえ、父親であることは変わらないから、債権者たちは、行方知れずになった父親を捜して、太陽くんの事務所に何度もやってきていたんです。2年間にもわたってそんな脅迫めいた行為があった。辻ちゃんも最初は震え上がるばかりでしたね」(夫妻を知る人)
その一方で、杉浦は一家の大黒柱として奮闘していた。2010年は『ゲゲゲの女房』(NHK)に出演。『はなまるマーケット』(TBS系)などレギュラー番組3本を抱える。他にもローカル放送の番組出演依頼が来れば、ほとんど二つ返事で引き受けるなど、仕事に励んだ。
「外で夫が家族のために一生懸命働いてくれるのは、妻としてはうれしいこと。でもやっぱり小さな子供をふたりも抱えて不安だったと思いますよ。おまけに義父の取り立てのことで怖い思いもいっぱいしたと思いますし。でも彼女は“子供を守るのは私”という一心だった。テレビ番組出演や長期ロケなどを控え、家でもできる仕事に切り替えていきました。住んでいるところだけはわからないようにしようと、引っ越しも繰り返して。そんななかで、夫婦の気持ちがすれ違っていったんですよね…」(前出・夫妻を知る人)
※女性セブン2012年1月5・12日号