10月17日、北朝鮮の金正日総書記が死去したが、拉致の首謀者が亡くなったニュースに、拉致被害者の横田めぐみさん(47)の母・早紀江さん(75)は、まだ信じられないといった表情でこう答えた。
「私たちは子供を返してくださいといっているだけ。せめて自分の意識のある間に罪の悔い改めをしていただきたかった」
母は34年間、娘の帰りを信じて待っているのだ。
12月17日午前8時30分、北朝鮮の金正日総書記(享年69)が亡くなったと朝鮮中央テレビが伝えた。死因は心筋梗塞とされている。
日本政府がこれまでに拉致被害者と認定したのは17人。北朝鮮は、拉致問題を否定してきたが、2002年、うち13人の拉致を認め、5人を帰国させ、8人は死亡したと発表した。死亡と発表されたひとりが、冒頭のめぐみさんだ。
1977年11月、新潟市で当時中学1年生だっためぐみさんは、バドミントン部の練習を終えて帰宅する途中、忽然と消息を絶った。
その後、北朝鮮が「めぐみさんのもの」として送ってきた遺骨は偽物と判明。その後も脱北者などから、生存情報がたびたび伝えられた。
北朝鮮情勢に詳しいジャーナリストの惠谷治氏は、金総書記の死がめぐみさん“帰国”のチャンスになり得ると話す。
「めぐみさんをはじめ、いまだ“生存説”がある被害者は多いんです。だが、北朝鮮にとって、めぐみさんたちが亡くなったという公式見解は、金総書記が決めたもので、いままでは、絶対否定できないものでした。しかし、金総書記が死亡したことでその重しがなくなった。拉致問題解決に向け、日本がいち早くアクションを起こせば、一気に解決に向けて動く可能性もあります」
めぐみさんの帰国が実現できるかどうかは、日本政府の対応にかかっている。
※女性セブン2012年1月5・12日号