2011年、東日本大震災と原発事故を前に日本の政治は立ちすくんできた。なぜ日本の政治はこうも無力になってしまったのか。政治ジャーナリスト・渡辺乾介氏(『小沢一郎 嫌われる伝説』著者)が小沢一郎・元民主党代表に聞いた。
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今の政治的には原発という大問題があります。
日本の再建だ、東北の再建だといっていますけれども、放射能封じ込めに成功しないと日本経済の再建も日本の将来もない。福島第一原発の事故はマスコミでは喉元過ぎればで、何だか風化したみたいになっていますけれども、日本人的な現象で非常に危険だと思います。
この放射能については、何としても完全に封じ込めないといけない。そのためには、どれだけお金を使ってもやむを得ないし、封じ込めの体制の先頭に立つのは国だ、ということを僕は言い続けてきたんです。事故の現状は、東京電力が第一義的に責任者だからといって、東電にやらせていいという状況を超えている。国が自ら先頭に立って、主体的にやらなくちゃいけない。
原発による被災者の皆さんの生活の問題と同時に、放射能をいかにして封じ込めるか。水をかけて「冷温停止状態を達成した」なんていったって、永久に水をかけ続けるのか? 今になって、核燃料が圧力容器からメルトスルーして、もうすぐ格納容器の底のコンクリートを抜けるかもしれないなんて、呑気なことをいっているわけですね。
震災の2、3日後には、熱工学の学者をはじめ客観的に事実を見ている人たちは、必ず炉心は壊れているといっていた。燃料も必ずメルトダウンしているとわかっていたわけですよ。それにもかかわらず、政府は2か月後にようやくメルトダウンを発表して、そして最近になって落ちたウラン燃料がコンクリートを侵食して、底を突き破るまであと30何センチだなんていっているわけです。あれ、突き抜けて土の中に入っちゃったら、汚染の拡大を止められなくなりますからね。
それをまず徹底的に封じ込めないといけない。それは国家、政府が先頭に立ってやるべきことです。
※週刊ポスト2012年1月1・6日号