10月14日人気のiPhoneがソフトバンクだけではなく、auからも発売され、10月の契約者純増数の前月比で、ドコモは約45%、ソフトバンクは約90%、auは約157%(電気通信事業協会発表)と、iPhoneが強さを見せつけた。
「スマホ市場はiPhoneの一人勝ちが続いています。11月期の契約者純増数でも、iPhoneを発売したauがソフトバンクに次いで2位につけてきました」
ケータイジャーナリストの石川温氏は、端末の魅力がユーザーを引きつけており、ドコモユーザーからのiPhone待望論も無視できないほどの勢いになってきているという。人気のiPhone 4Sが使えるようになったauとソフトバンクの2キャリアについては、料金ならソフトバンク、エリアならauだと語る。
店頭では、2社の売り込み合戦が続いている。都内の量販店では、ソフトバンクだけだった頃に比べ、iPhoneの売り場面積もぐっと広がったが、客は「どちらがいいか」と店員に聞くために、朝から列をつくるありさまだ。
端末価格ではauの方が安いが、月額料金を加味すると料金面はソフトバンクが安くなる。最大通信速度もソフトバンク14.4Mbpsに対し、auは3.1Mbpsで理論上はソフトバンクの方が高速だが、環境によって異なるため一概には判断できない。
最新機種の同時発売から2か月。ソフトバンクとau、実際に使用しているユーザーの視点ではどちらの評価が高いのだろうか?
株式会社イードによるキャリア別の満足度調査では、「通信エリアの広さ・圏外の少なさ」はau61.0%に対しソフトバンク18.0%、「インターネットのつながりやすさ」ではau59.9%に対しソフトバンク26.9%。ともにauが圧倒的に高い評価をユーザーから得ている。
16年間、auユーザーとして一般的な携帯電話を使ってきた40代のライターは、狙っていたiPhoneがauから発売されたことをきっかけに機種変更した。
「『スマホは通話音質が悪い』という声も聞き、仕事で使うことへの不安もありましたが思い切って変更しました。最初は慣れずに、ポケットの中でタッチパネルが反応してしまい、知らずに迷惑電話をかけてしまうという失敗も。
でも、3年間使った携帯電話より通話の音声品質が良く、なにしろ仕事のメールをすぐ簡単に見られることが助かっています。パソコンを持たずに出かけられることも増えました。荷物が軽くなり、腰痛がグッとラクになったのには驚きました」
ソフトバンクのiPhone 4Sを会社から支給されたという40代の会社員は、「夜、部下からの企画書を受け取って修正を指示すれば帰社せずにすむとか、出先で見積書をさっと確認できるとか、便利に使っています。検索も手軽にできるので頻度が上がりました。ただ、会社から取引先に電話をかけても1回でつながらずに、呼び出し中に切れてしまう。5回くらいかけ直したことも。ソフトバンクに相談したら、回線状態は若干良くなったみたいです」という。
スマホといえば画面サイズが大きくなったことに比例してバッテリー消耗が激しいことにも不安がある。昨年からiPhoneを所有し、4Sの発売でソフトバンクからauに乗り換えた30代の営業職は、ソフトバンクとauではバッテリーの持ちと通話エリアに違いがあると話す。
「去年、やっと手に入れたソフトバンクのiPhone 3GS。アプリも結構手に入れてよく検索などもしていましたが、休日に山中湖に行くと電波が入らない。しかも電波を探してバッテリーを消耗するのか、夕方には電池切れということも多かったんですがauに変えてからそういうことはなくなりました。
さらに、受信設定を15分に1回の自動受信から、手動受信に変更し、朝から夜まで1日持つように。auの地震速報は電池を消耗しづらい仕組みになっているらしいのも、安心感が高いですね」
どうやらauの方がつながりやすく、電池の持ちも良く、ソフトバンクは通話をしながらインターネットで検索が使えるなどの機能が充実しているようだ。
「3~4年後には携帯電話の7割以上がスマホになると予想されています。今後は普通の携帯とスマホの垣根がなくなるほど、使いやすくなるでしょう。パソコンをいちいち起動しなくてもメールを読めるくらいの軽い気持ちで手に取ってみては」(前出・石川氏)
※週刊ポスト2012年1月1・6日号