金正日総書記が17日に死亡した。奇しくも父・金日成と同じく急性心筋梗塞で亡くなった金正日。しかし、その時とは緊迫度が違う。ジャーナリストの惠谷治氏はこう話す。
「金日成が急死した時は、34時間後にその死が発表された。だが、今回は51時間あまりもかかっている。それは、後継者である金正恩への権力移譲がしっかりできていなかったからである。金日成の時に比べて、権力掌握のためにやらなければならないことがいろいろあったと考えられる」
2008年8月に脳卒中で倒れ、今年初めにも体調悪化が囁かれた金正日だが、健康状態は回復に向かっていると見られていた。
「脳卒中で倒れた時は、韓国国家情報院が父子の会話をキャッチし、異変に気づいてアメリカにも知らせた。しかし今回は、韓国もアメリカも中国もその兆候を掴んではいなかった」(北朝鮮に詳しいジャーナリスト)
それだけに、各国情報機関は、暗殺やクーデターの可能性もあるとして、情報収集に追われた。朝鮮中央通信は、金正恩をトップとする232人による葬儀委員会が組織されたと報じ、28日に葬儀、29日には追悼大会を行なうと発表した。だが、その先に何が起こるのか―北朝鮮情勢は予断を許さない。
※週刊ポスト2012年1月1・6日号