サラリーマンが給与から天引きされている社会保険料には、厚生年金保険、健康保険、雇用保険、介護保険などがある。個人や法人の財政状態を保険を中心に改善するコンサルタント、財務支援研究所代表の小島宏之氏が、介護保険について解説する。
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「介護保険」は、40歳になると介護保険料として給与から天引きされます。その後、介護状態になったと認定されると、介護費用の一部(原則1割)を自己負担して各種介護サービスを受けることができます。
なお、65歳以上の高齢者が第1号被保険者とされるのに対し、40歳以上65歳未満は第2号被保険者として介護サービスを受けることも可能です。ちなみに第1号被保険者はどのような原因でも所定の介護状態と認定されればサービスは受けられますが、第2号被保険者は加齢か特定の疾病が原因でなければサービスは受けられません。交通事故などのけがが原因の場合、介護保険の対象とはならないのです。
介護サービスの内容はその状態(要介護度)に応じて変わり、最も軽い「要支援1」から最も重い「要介護5」まで7段階あります。実際に受けられる在宅サービスは上表の通りですが、要介護度によって1か月当たりの支給限度額が決められており、それを超えた分は全額自己負担となります。
それが不安という方には、民間の「介護保険」で備えるという手もあります。これは要介護状態になると年金形式で保険金が受け取れるものですが、難点は保険料が高いこと。月払いにすると5万円前後かかってくることもあります。
ただ、2012年からは生命保険料控除の仕組みが変わるため、税制上のメリットが拡充されます。これまでは介護保険や医療保険の保険料は一般の生命保険と合算され、年末調整によって所得税で最大5万円、住民税で同3万5000円の控除が受けられていましたが、2012年からは介護保険と医療保険が切り離され、所得税で同4万円、住民税で同2万8000円の「介護医療保険料控除」が受けられるようになります。
これは2012年1月1日以降に締結した契約から適用されるので、2011年中に加入を考えている方は2012年まで待ったほうが賢明といえるでしょう。
いずれにしろ「介護」は決して遠い日の話ではありません。今のうちからしっかりとその仕組みを把握しておく必要があると思います。
※『サラリーマンのための安心税金読本』(小学館)より