高齢化社会に突入したことで、話題になることが多い「年金」。老後にもらえる金額はいくら? そもそもいくら払えばいいの? などと、素朴な疑問を抱いている人も多いはず。そこで、今一度年金制度の基礎をおさらい。会社が全部やってくれるわけではない、専業主婦やパート主婦にスポットを当てて、説明する。
まず、専業主婦が加入している年金は「国民年金」というもの。加入手続きは夫の勤務先が行ってくれるため不要で、保険料も0円で済む。夫が会社員として「厚生年金」の保険料を納めているので、収入のない妻は負担しなくてもよい仕組みになっている。
年金がもらえる条件は25年以上加入すること。それを満たせば65才から支給が始まる。25年未満の場合、老後にもらえる年金額は0円。支払った保険料も戻ってこない。
もらえる年金額は加入期間に比例し、国民年金に20才から60才までの40年間加入した場合、65才から月6万6000円程度が支給される。この「国民年金」だけで老後の生活を支えるのは難しく、夫の「厚生年金」、貯金などを合わせて老後を乗り切るのが一般的だ。
そしてパートは働き方によって、加入する年金が異なってくる。勤める会社の正社員と比べ労働時間が4分の3以上(多くの場合、週30時間以上)なら、正社員と同じ働き方をしているとみなされ、会社員同様の「厚生年金」に加入する。この場合、保険料の本人負担分は8%。
例えば、35才のときに月収10万円で「厚生年金」に加入(20〜35才までは「国民年金」に加入)し、毎月8000円程度の保険料を25年間払い続けると、老後は月8万円程度の年金をもらえることになる。
一方、同じパート主婦でも、原則年収130万円未満かつ週30時間未満で働いていれば、自分で保険料を支払う義務はない。夫が会社員なら、専業主婦と同じように保険料0円で老後は国民年金を受け取れる。
ちなみに、会社員がはいっているのは「厚生年金」。収入の16%程度の保険料を、給料とボーナスから納める義務があるが、このうち半分は法律の規定により勤務先が負担することになっている。したがって、本人負担は収入の8%程度で、給料から天引きされる。
「厚生年金」は1か月でも加入していれば、退職して主婦になった場合でも、その分を国民年金に上乗せして原則65才からもらうことができる。月収36万円の会社員の場合、本人負担の保険料は月2万9000円程度。国民年金の加入者より多くの保険料を払う分、もらえる年金額も大きい。同じ40年間加入のケースで比べると、国民年金の6万6000円に対し、月収36万円の会社員の厚生年金は16万6000円となる。
「専業主婦」「会社員」「パート主婦」で比べてみると、低収入のパート主婦として働くのが、最も賢い選択肢のように見える。パート収入があっても、年収130万円未満なら保険料は0円、つまり支払わなくて済むからだ。
※女性セブン2012年1月5・12日号