為替相場はユーロ危機の深刻化もあって長期の円高局面が続いている。さらに、2011年8月からはレバレッジ規制も加わって、FX市場は大きな変換期を迎えている、との声も多い。日本におけるFX第一人者のひとり、FXプロフェッサー・鈴川克哉氏が“FX市場のいま”を読み解く!
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個人的には円高は今後もしばらく続いていくと思いますよ。アメリカにしろ、ヨーロッパにしろ、自分のところの通貨は安くしたいんです。アメリカも量的緩和等でがんばっていますし、ユーロも利下げをしましたね。
ところが日本は利下げもできないし、できることといったら介入しかない。それでも抑えきれないほど、世界の流れがすべて円高の方向に動いているんです。しばらくはこの状態が続くでしょうね。
欧州危機については、“明日は何が起こるかわからない”といった状況ではありますが、ユーロ自体が崩壊することはない、というのが私の考えです。今はドイツがユーロを離脱し、ヨーロッパの覇者となることをフランスが必死で止めている状態。ドイツがユーロを離脱でもしたら、それこそ崩壊です。ギリシャ、イタリアといった“癌”を切り離せればユーロも上昇するのでしょうが、そう簡単にはいかないですからね。ずぶずぶとユーロ安も続くのではないでしょうか。
その反面で、注目を浴びているのがオセアニア系通貨。鉱物資源が豊富ですし、高金利とあってもともとは豪ドル/円が人気でしたが、円高が続いたために為替差損を危惧する投資家が増え、豪ドル/米ドルに視線が集中しています。為替はマトリックスで見るべきもの。豪ドル/円だけではなく、豪ドル/米ドル、米ドル/円と全体を見ることが大切です。リスクヘッジにもなりますし、豪ドル/円のポジションを持っているならなおさら、豪ドル/米ドルはチェックするべきでしょうね。
※マネーポスト2012年新春号