年末も押し迫ってくると、「来年こそは気分一新してライフスタイルを変えてみよう」という気持ちになるもの。そこで注目したいのが、子育てを終えた団塊世代や熟年夫婦に人気が高まってきたキーワード、「ダウンサイザー」だ。
ダウンサイジングとは、元々は小型化によって利益を生み出そうというメーカーの発想で、コンピュータや携帯電話、自動車などがその最たるもの。20年くらい前までは部署に1つあるだけだったオフィスコンピュータが、いつの間にか全員のデスクのパーソナルコンピュータに取って代わったのを記憶している人も多いだろう。
ここ数年、話題になっている「ダウンサイザー」はちょっと様子が違う。生活の無駄を省いてコンパクトにサイズダウンすることで、よりゆとりのある豊かな暮らしを手に入れようとする人々をさす。子供が独立して夫婦二人になったら、郊外の戸建て住宅から都心の賃貸マンションに転居。冷蔵庫やエアコンは人数や部屋の広さに合わせた省エネタイプに。趣味のオーディオセットはシンプルな一体型に。旅行にはスーツケースではなく身軽なキャリーバックと、小型高性能で低価格になった一眼レフ、といった具合だ。
クルマでいえば、新燃費測定基準・JC08モードでリッター30kmの低燃費で70万円台という軽自動車が登場。軽自動車といえば女性や若者のものというイメージを覆し、中高年以上のしかも男性ユーザーを多く獲得している。ブルース・ウィリスのコミカルなCMも話題のダイハツ『ミラ イース』が、それだ。
9月に発売された『ミラ イース』は、電気自動車、ハイブリッド車に続き、ガソリン車でありながら超低燃費を実現する“第3のエコカー”。燃費がハイブリッド並みでありながら、価格はその半額、保険やガソリン代、諸々の維持費なども少なくてすむのでお得感からか、当初、月販目標台数は7000台だったが、発売後1カ月で約4万台の受注と好調。日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が発表した11月の新車販売台数でも、イースの好調で『ミラ』がプリウスに次いで2位と、着実に順位を上げている。これもダウンサイジングが市場に支持された、ひとつの例といえるだろう。
出費をがまんして生活レベルを下げるのではなく、無駄や浪費を省くことでゆとりあるスマートな生活を目指す。自分たちの暮らしの質がアップするだけでなく、省エネやエコにも貢献できる。メーカー側もこうした「ダウンサイザー」に注目して、次々と小型高性能な新商品を市場に送り出してきている。年金支給の先送りや増税など何かと将来設計が不透明な今だからこそ、コンパクトなライフスタイル「ダウンサイザー」が快適でかっこいい。