「毎日排便がない小学生」は4割を超える。しかも、約8割の母親が、自分の子供の便通は順調だと考えている。女性口コミサイト『ウィメンズパーク』の調査で、そんな実態が明らかになった。まさかうちの子に限って――。
「いま、子供の腸内環境が悪化し、便がすっきり出ない“停滞腸”の子が多いんです。便秘外来でも、お子さんの相談件数は増えています。腸の機能がまだ未完成の子供のうちに、排便習慣が乱れていると、子供の将来の健康にも大きな影響を及ぼす可能性もあります」。大腸疾患治療の第一人者である医師の松生恒夫さんは、この調査結果に警鐘を鳴らす。
「ファストフードやコンビニ食など食生活の乱れなどによる、食物繊維不足も大きな原因と考えられます」(松生さん)
実際、日本人の食物繊維の摂取量は、1947年以降、右肩下がり。40~49才女性では、目標17g以上に対して、13.2g(厚生労働省日本人の食事摂取基準2010、平成20年国民健康・栄養調査より)。これは、60年前の約半分。また、子供の平均摂取カロリーから算出した食物繊維摂取量も、小学2年生男子の暫定基準量16.5gに対し、5gしか摂れていない子がいるなど、暫定基準量に達していない子供が多い状況だ(児童生徒の食生活等実態調査、文部科学省調べ)。
「子供の排便状況を改善するには、便のカサを増やしたり、便をやわらかくしたりする“食物繊維”を積極的に摂らせること。便秘外来にお子さんを連れてくるお母さんに聞くと、自分も便秘という人が多いんですよ。日々の食生活でもっと食物繊維を意識してほしいですね」(松生さん)
そこで手軽に食物繊維を摂る方法を、管理栄養士の浜本千恵さんに伺った。
「一度にたくさん摂れるのは、おからやきな粉などの大豆製品や、いもやごぼうなどの根菜類、海藻やきのこ類など。レタスは丸1個食べても約3gほどですが、焼きいもなら1/2本で4gほど。生野菜よりも、ゆで野菜のほうが効率がいいですね。
また、手軽でおすすめなのが“干し柿”。1個に約10gの食物繊維が含まれます。正しい排便習慣のためには、毎日摂ることが大切。みそ汁やおやつなど何か1品でも加えてみて」
「食事で充分摂れない場合は、おやつやドリンクなどで補いましょう。便秘外来に来るお子さんには、なるべく下剤を使わないように指導し、食物繊維入りのドリンクを飲んでもらったり、腸内環境を整えるオリゴ糖を寒天で固めてゼリーにしておやつ代わりに食べてもらったりしています」(松生さん)
子供の便秘外来でも取り入れられているのが、食物繊維飲料『ファイブミニ』だ。大塚製薬の神野亜紀子さんによると、「1本にレタス1.8個分にあたる約6gの食物繊維が含まれています。フルーツ味で飲みやすく、実はお子さんにもおすすめなんですよ」。
他にも、1袋にバナナ3本分の食物繊維(3.6g)が含まれた『こんにゃくせんべい』や、1袋で1.4gの食物繊維が摂れる『ナタデココ青りんごグミ』といった、手軽に食べられる市販のおやつもある。
また、さつまいもやプルーンなどを使った、食物繊維たっぷりのおやつを作るのもオススメ。(レシピは2人分)
■コロコロきな粉いも
ゆでてつぶしたさつまいも1/2本に、きな粉大さじ1.5、砂糖大さじ1を加えて混ぜる。10等分して団子状に丸めて、きな粉大さじ1をまぶす。
■かぼちゃのパンケーキ
かぼちゃ200gをゆでてつぶし、ホットケーキミックス60gと卵1個、牛乳50cc、レーズン大さじ2を入れて混ぜる。油適量を引いたフライパンに流し入れ、弱火で焼き色がつくまで焼く。
■ヨーグルトパフェ
器にコーンフレーク1/2カップを敷き、ヨーグルト160gをかけ、輪切りにしたバナナ1本、半分に切ったプルーン4個を盛りつける。
「『今日は出た?』と声をかけたり、お風呂で子供のお腹に触れたり、子供とのコミュニケーションも大事」と、前述の松生さんはいう。何かと忙しい師走、我が子のうんち、気にかけてみて!
※女性セブン2012年1月12日号