社会保障やら東日本大震災の復興費用やら、さまざまな名目で増税に向かって突っ走る野田政権。就任直後から「財務省の操り人形」などと一部週刊誌で揶揄されるほど、ひたすら増税の必要性を説く首相に新聞を筆頭とするメディアは「増税の前に歳出の削減を」と猛反発。現在の経済状況などを論拠に反論しているが、必ずしも読者のためだけに反論している訳ではな
いようだ。
全国の新聞社が加盟する新聞協会が増税を嫌う最大の理由は「購読費の値上げ」である。読売新聞の1000万部割れ、朝日新聞の800万部割れなど、どこの社も発行部数が落ち込んでいる。「予備紙」と呼ばれる所謂「押し紙」を減らしたためでもあるが、最大の原因は新聞離れによる購読者数の減少。
同協会加盟社の関係者はこう耳打ちする。
「現在、どこの社も購読者のほか、広告収入は激減しており、ダンピングは当然、無料で掲載する『タダ稿』も日常茶飯事です。広告が取れず、売上が減少する中で、増税なんてされた日には、ただでさえ止まらない新聞離れが加速しますよ」
関係者によると、同協会は民主党議員を通じ新聞の消費税免税を陳情しようとしたようだが、「そんな身勝手な理屈では、読者の反発を招く」と同協会内でも反対の声があり実現しなかったという。新聞にもまだ良心が残っていたということか。
接触するうちに同協会サイドは「増税は規定路線で変更する気配がない」と察し、これまで増税について明確に反対しなかった社も、一転して増税反対に転じたらしい。
政府は連日のように増税の必要性を説く。庶民からすれば公務員の厚遇、国会議員の削減など、まず自身のスリム化を図る前に必死で稼いだ金を巻き上げられたまったものではないが、新聞業界は庶民とは別の理由から反対しているようだ。
同床異夢。