1930年に前身の教育団体、創価教育学会が誕生してから81年、戦後高度成長と時を同じくして爆発的に増やした信者数は、1000万人以上ともいわれる。創価学会という特異な宗教団体と池田大作というカリスマ指導者に迫った週刊ポストの連載『化城の人』。ノンフィクション作家の佐野眞一氏は、池田の生家近くにある池田家の墓を訪ねた。(文中敬称略)
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寺の墓地の片隅にある「池田家之墓」と刻まれた墓には、昭和三十一年に他界した父親の子之吉(戒名・浄徳清道信士)や、ビルマで戦死した兄の池田喜一陸軍曹長などの霊が祀られている。
子之吉が死んだ昭和三十一年といえば、大作が入信して十年目である。池田は父の死の二年前には青年部の参謀室長に抜擢されている。
池田は創価学会に入信したとき、家から勘当同然となった。しかし、入信ほやほやの時期ならいざ知らず、池田は父の死の時点ではすでに幹部となっていたのだから、何が何でも一家を折伏して創価学会に入信させなければならない立場だったはずである。
自分の家族や一族さえ折伏できなかった男が創価学会の会長におさまる。そればかりか、以後半世紀以上その組織のトップに居座り続ける。それが、池田創価学会の最大の謎である。
(連載『化城の人』第1回より抜粋)
※週刊ポスト2012年1月1・6日号