前立腺がんのため74歳で死去したプロゴルファーの杉原輝雄氏は、グリーンに立つ自分こそが全てだった。1997年12月に前立腺がんが発覚し、2008年4月にはリンパ節に転移。それでもプレーに影響が及ぶ手術を避けてきた。そして、再び病魔は襲いかかる。リンパから肺への転移が確認されたのだ。杉原氏は、『週刊ポスト』にその時の胸中を明かしている。以下、杉原氏の言葉だ。(週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号より)
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体に良いといわれたものは何でも試した。どくだみの葉は家にあったから1日2、3枚は食べて、鮫の軟骨も服用。毎朝、家内の作る野菜ジュースも飲んだ。
それで、がんの数値を示すPSA値が下がって、主治医もこんなケースは稀だから不思議やというてました。自覚症状もなかったし、最初から僕にがんはなかったんやとまで思った。
でもね、実際は病を克服したわけでもがんが消えたわけでもなかった。ホルモン注射の効果で、腫瘍が小さくなっただけやったんよ。
僕は往生際が悪いですから。よくいえば負けず嫌いやし、悪くいえば諦めが悪い。自分の口から引退という言葉を口にしたくなかった。
だけど、今回ばかしは自分が病気を克服して、プレーしている姿を想像できませんわ。グリーンで死なれたらみんなに迷惑がかかってしまうしな。