前立腺がんのため74歳で死去したプロゴルファーの杉原輝雄氏は、グリーンに立つ自分こそが全てだった。1997年12月に前立腺がんが発覚し、2008年4月にはリンパ節に転移。それでもプレーに影響が及ぶ手術を避けてきた。そして、再び病魔は襲いかかる。リンパから肺への転移が確認されたのだ。杉原氏は、『週刊ポスト』に、その時の胸中を明かしている。そこで語られたのは、最近のゴルフ界への厳しい評価だった……。以下、杉原氏の言葉だ。(週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号より)
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最近のゴルフ界は、どうもプレーが冷めて見えるね。調子が悪いと、どの選手も潔く諦めてしまうとでもいえばええんかな。カネ稼ぐためには、少しでも順位をあげなあかんのに。
正直な話、プロゴルファーという職業は、手を抜きやすいんです。テレビで放映されているから、真剣にクラブ振ってるフリをせなあかんけど内心はスコアが悪いと“早くこの試合終わりたいな”と思う奴もいる。
少しでも成績をあげるのが正しきプロの姿ですけど果たして現在のゴルフ界にそうした矜持を持ってプレーしている選手は何人いるか。トーナメント中継でテレビ観戦しているとよく考えてしまいます。