現在日本の政治は「政治主導」とは名ばかりで、官僚主導のまま。日本の政治はどこへ向かっていくのか。そんな現状に対し「言わずに死ねるか!」――政治家経験者による日本政界への提言を聞こう。ここでは元内閣官房長官の村岡兼三氏(80)の話を聞こう。
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民主党政権の実態は「官僚支配」だ。私は国鉄民営化時に運輸大臣を務めた経験から、いまも国の関与を弱めて民間に託すべき分野が多いと痛感している。官僚の天下りの温床となっている無駄な特殊・独立行政法人も整理できず、官僚機構の肥大化を防げていない。
現在のように財務省が“日本の親玉”のように振る舞い、官僚が政治を牛耳るようになってしまった理由は何か。与党議員の勉強不足の一言に尽きます。
かつての自民党には派閥があった。いまでは「ポスト配分」や「利権」といった悪いイメージがあるが、本来の派閥の役割は「政策勉強集団」です。議員になって法案を立案するにも、まずは勉強をしなくてはならない。なにより、官僚と渡り合うためには政策について研鑽を積むことが必要不可欠です。
民主党を見てください。4、5回生議員、下手をすると2、3回生の駆け出し議員が勉強不足のままに要職に就いている。官僚と渡り合う知識がないから、官僚機構を制御できず、民主党は政権公約をほとんど実行できない。こと官僚とのパワーバランスでいえば、自民党時代の方がいまよりも拮抗していました。
●村岡兼造:1972年初当選。運輸大臣、内閣官房長官を歴任。2003年引退。
※週刊ポスト2012年1月1・6日号