62回目を迎える『NHK紅白歌合戦』(2011年12月31日午後7時15分~)。東日本大震災のあった2011年は、紅白も特別なものになりそうだ。震災からの復興を意識していることは、「あしたを歌おう。」というテーマや、出場歌手の顔ぶれにも表れている。
西田敏行(64)は福島県の出身で、震災後は精力的に被災地でボランティア活動を行ってきた。10年ぶりの出場となる松田聖子(49)は、娘・神田沙也加(25)との親子出演で、家族の“絆”の大切さを再確認した1年を締めくくる。
同番組チーフプロデューサーの原田秀樹さんがいう。
「悲しいことやつらい思いをされたかたもたくさんいらっしゃって、大晦日はそれを振り返るような、ある意味厳かな気分で迎える一日でもあるでしょう。とはいっても、明日になったら新しい未来の一年が始まるわけですから、そこに向けて、少しでも希望の風を届けたい。そういう空気を感じていただけるよう意識して作っています」
曲を通してメッセージを届けたいとの思いで臨む歌手もいる。6年ぶり2度目の出場となる松任谷由実(57)も、そのひとりだ。
「4月にNHKの『SONGS』に出演するに際して、何か自分なりにできるような企画はないだろうかということを、毎日のようにスタッフと膝を突き合わせて考えてくださって。で、出た答えが『春よ、来い』をチャリティーソングにして、合唱入りの新バージョンを作ることでした」(原田さん)
紅白ではもちろん、その『(みんなの)春よ、来い』を歌う。松任谷ばかりではない。震災後は各地でチャリティーコンサートが行われ、多くの歌手がそれに協力。1911年は歌の力が改めて見直された1年だったともいえる。
「大震災直後の3月は津波や原発事故のニュース一色で、歌などのエンターテインメントはもうできないような雰囲気でした。しかし、4月、5月ごろからは『歌から元気をもらいたい』『こんなときだからこそ、歌を』という声をいただくようになりました」(前出・原田さん)
もともと戦後の復興期に、日本人を勇気づけようと始まった紅白歌合戦。その意味でも、2011年の紅白は真価が問われるものになりそうだ。
※女性セブン2012年1月5・12日号