大人力コラムニスト・石原壮一郎氏の「ニュースから学ぶ大人力」。今回は今年一年を総括して、2011年の物故者を「大人として謹んで偲ぶ」方法を考えます。
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2011年も間もなく幕を下ろしますが、今年もたくさんの方々が、こっちの世界から別の世界に旅立って行かれました。年末になって飛び込んで来たのが、朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者・金正日(敬称略・以下同)の訃報。ほかにも、11月には落語家の立川談志、10月にはアップルCEOのスティーブ・ジョブス、7月には作家の小松左京など、今年は超大物の死が相次いだ印象があります。
それぞれの先人たちの業績に敬意を表し、その死を謹んで悼むのは、大人としての大切な務め。超大物の訃報にばかり目を奪われて、自分の人生に重要な意味を持つ人の死をうっかり失念するわけにはいきません。
「ああ、あの人も今年だったよね」と言い合いながら、みんなでそっとご冥福をお祈りすることができるように、あらためて「2011年の物故者」を振り返ってみましょう。
芸能関係では、個人的にも極めてショックでしたが、4月には元キャンディーズの田中好子が55歳の若さで亡くなりました。3月には坂上二郎、5月には児玉清や長門裕之、6月にはピーター・フォーク、7月には宮尾すすむ、8月には前田武彦や竹脇無我、9月には杉浦直樹……。それぞれの出演作品の思い出を語り合ったり、あるいはモノマネをしてみたりして、たくさんの夢や喜びを与えてくれたことに感謝したいものです。
今年は、野球関係者の訃報も目立ちました。2月には中日ドラゴンズ元監督の与那嶺要、3月には箕島高校野球部元監督の尾藤公、7月には阪神タイガースなどで活躍した伊良部秀輝、8月には巨人軍の名誉オーナーの正力亨、11月には「悲運の名将」と言われた西本幸雄……。
サッカー界では、8月に元サッカー日本代表のディフェンダー・松田直樹が、練習中に突然の悲劇に見舞われました。34歳の若さでした。7月には、元サッカー日本代表監督の森孝慈も世を去っています。
小松左京の話題が出たときに、作家つながりでいっしょに偲びたいのは、5月の団鬼六、7月の辺見じゅん、10月の北杜夫……。文化人方面では、今月に入ってから、脚本家の市川森一や映画監督の森田芳光が、相次いで亡くなりました。
もちろん、ここに挙げた以外でも、みなさんそれぞれに「今年は何といっても、あの人が亡くなったのが残念だった……」と思える人がいるはず。暮れのあわただしい時期ではありますが、もう一度ゆっくり思い出しましょう。
会話の中で、周囲が「へぇ、その人も今年だったんだね」と感心してくれる名前を上げることができたら、故人を偲ぶことになるだけでなく、その故人に関係するジャンルへの造詣が深そうに見えそうです。いや、まあ、そのあたりはあくまでも、どうでもいい極めてささいなついでの副産物ですが。