2011年12月31日の放送で62回目を迎える『NHK紅白歌合戦』(午後7時15分~)。大みそかの国民的行事となった『紅白』に出場することは、歌手にとって最高の栄誉といわれている。逆に出場すれば、自分の顔と名前、そして歌が全国に知れ渡ることになる。
1970年に「ヒデとロザンナ」として白組から初出場。『愛は傷つきやすく』を歌ったロザンナ(61)は、イタリア出身のため、紅白が「国民的行事」であることを知らなかったが、1990年に亡くなった相方のヒデさん(享年47)の様子を見て、その“重み”を感じたという。
「いつもは衣装に無頓着な彼が、衣装を3着決めなきゃって張り切っていました。私は“1曲しか歌わないのになんで?”って思ったんですけど、オープニングと歌うときと、エンディングで衣装を替えなきゃいけないって」(ロザンナ)
また、紅白のステージに上がったとたん、ヒデさんの手が震えて顔が青くなっていたことも印象的だったという。
「出場されているのも大、大、大先輩のかたばかり。楽屋の場所取りも大変で、ステージより楽屋のほうがピリピリしていました」(ロザンナ)
そして紅白出場を機に、「ヒデとロザンナ」の知名度は一気に高まった。
「地方に行くと、“先生”って呼ばれるんですよ。“先生、こちらです”とか。ヒデは“お母さん孝行できた。お母さんがいちばん喜ぶだろう”っていっていましたね」(ロザンナ)
作家や音楽プロデューサーとして事務所を経営している合田道人さんは、紅白の“威力”を実感した経験がある。合田さんの音楽事務所に所属していた岸千恵子さん(2011年12月9日、急性肺障害で死去。享年69)が『津軽じょんから節』で1988年に初出場を果たしたときだった。
「紅白に出たとたんに、次々に出演依頼が来て、すぐにスケジュールがいっぱいになりました。何度電話されても“空いてません”と返事をするので、相手が自分からどんどんギャラをつりあげる。ギャラは紅白出場前の約3倍になりましたね」(合田さん)
※女性セブン2012年1月5・12日号