伝説のAV王・村西とおる監督に聞く混迷の時代をサバイバルする生き方。最終回は、「日本のAVが良質な文化を担保する」です。(取材・構成=ノンフィクションライター神田憲行)
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今年、世界の特許出願数で中国が日本を抜いて世界第二位になったという報道がありました。家電、自動車でも遠くない将来に日本を追い抜くのはもはや火を見るよりも明らかでございます。
それでも中国人が逆立ちしても日本をマネできない分野が二つございます。アダルト・ビデオ(AV)とお米です。
なんでAVでマネができないのか。法律が厳しいからという意見もありますが、日本だって緩くはないですよ。前科七犯の私が言うのだから間違いない(笑)。
AVというのはつまるところ、女優さんのパフォーマンスの世界だからなんです。女性の元気、自由度、成熟度、民度が高くないとAVは成立しないんです。男尊女卑、女性が男性の所有物であるかのような抑圧された世界では、AVは生まれないんですね。
だから中国でも韓国でも、東南アジアを見渡してもアジアで日本を凌駕するAVは作れない。中国なんて、日本製AVの違法コピーが20億万枚も流通していると言われています。職場とか隣近所のみなさんで朝の二時三時まで上映会してるんだから、凄いよ(笑)。
日本の女性は多のアジアの国の女性と比べて、社会的解放が進んでいます。いきおい、セックスも自ら楽しむ術を心得ている。もうロシアのボリショイサーカスの短剣呑みでもここまで呑めないだろうというぐらいに日本の女性はチンポを呑み込みますからね。
一億淫売かというかというぐらいに、どんな素人女性でもそれぐらいはできるんです。上に乗ればファミコンの高橋名人もかくやというぐらい、秒間三回のグラインドくらいしてみせます。
私の母親の時代なんて、セックスのときに声を出したぐらいで淫売扱いでしたからね。セックスが男から常に求められるもの、女は常に付き合わされるものだった時代から、男女が拮抗して平等に楽しむ時代になりました。だからこそ、日本のAVの女優さんたちが魅力的に映るわけですよ。
AVは生活レベルや知的レベルや日本の情感や品格というものが結集されているものなんです。
いま日本に自動販売機は560万台もあり、売り上げは8兆円に達するそうです。私は仕事で中国、韓国を含む世界40カ国以上まわりましたが、そんなに自動販売機が普及している国はありません。
なぜ普及するのか。それは山の中に自動販売機を一台ポツンと置いといても誰も盗んでいかない秩序があり、コインを入れれば確実に商品が入手できるという信頼感があるからなんですよ。我々が当たり前と思っていることが、実は世界では非常に珍しいことなんです。中国の友人なんて自動販売機を見て「うちの田舎ならみんな持って行っちゃう」と笑っていました。
日本人の良質な品格を示すもうひとつの商品はお米です。中国では様々な食品偽装が行われていて、公害もひどい。土地も水も汚染されていて、カドミウム米ですよ。そんなんもん食べているから中国の人で肌が汚い人が多いのよ。彼らに日本の炊きたてご飯見せたら、「こんな綺麗なご飯見たことがない」とびっくりしますから。
韓国人もびっくりする。いま日本の減反政策をやめれば500万トンのお米が獲れるそうです。TPP反対とか農家の危機とかいうまえに、こうしたお米をじゃんじゃん輸出すればいいのですよ。
安全・安心、品格、民度、こうしたものは日本社会がまだまだ世界に誇れるものです。AVもお米も日本社会の民度も、よその国が簡単に追いつけないモノなのです。なーにが不安なんですが、なーにが絶望なんですか。まだまだ日本人が作り上げてきたものの価値は失われていません。来年も胸をはって一緒に生きていきましょう。(談)