正月の風物詩、箱根駅伝。今回は、箱根の山を登る5区を3年連続区間賞で走り抜けた怪物・柏原竜二(東洋大学)のラストランということもあって、史上空前の盛り上がりを見せている。
他大学の監督は、彼を「怪物」と呼ぶ。3年連続区間賞で走り、東洋大学を3年続けて往路優勝に導いたからだ。かつての“山の神”今井正人(現トヨタ自動車九州)のタイムを大きく上回り、10年には区間記録1時間17分8秒を樹立している。
そのため、優勝を狙う早稲田や駒澤など力のある大学は、5区対策に重点を置く。それは柏原に勝つ戦略ではなく、4区までにどれだけ東洋大にアドバンテージを持って、5区の選手に襷(たすき)をつなげるか、である。3分以内の差なら、あっという間に抜かれてしまうからだ。
柏原の存在は、箱根駅伝の攻略法を変え、これまでの持久型からスピード重視の戦術へと、各大学の監督の戦術に大きな変換をもたらした。今年、箱根に初参戦する東海大学の両角速(もろずみ・はやし)監督は柏原をどう見ているのか。
「苦しくなってからの走りが凄い。もがきながらも、グイグイ上がっていくエースっぷりは大学生のレベルを越えている。前回、東海大学は早川翼(3年)が5区を走ったのですが、抜かれたときに、笑うしかなかったらしいですよ、そんな山登りが出来るのか、って」
※週刊ポスト2012年1月1・6日号