予想される多くの激変の中でも、日本の未来に大きな影響を及ぼすと考えられるのが“永田町の行方”である。白鴎大学の福岡政行教授は、既存の大政党が推す候補を破って大阪市長に就任した橋下徹氏率いる大阪維新の会と、みんなの党が連携し、総選挙の結果、キャスティングボートを握る「政界大再編」が起きる可能性が高いと分析する。
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私は解散・総選挙は2012年の春から夏にかけて行なわれる可能性が高いと見ている。低迷する内閣支持率は、この先さらにどんどん下がり、政権にレッドカードが突き付けられるだろう。
しかし、2012年度予算を通さずに解散すれば、日本経済は壊滅的な打撃を受け、選挙で不利になる。また、野田政権を陰で操っている財務省も予算は成立させたいはずだ。1989年の竹下登政権のように、予算成立と引き換えに、3月末から5月に解散し、5月から7月に総選挙が行なわれるのではないかと見る。
現在、待ったなしの日本の問題は、2011年度末に1000兆円を超えるとされる国の借金であるから、次期総選挙では「増税vs反増税」が最大の争点になることは間違いない。
そうした中、現在の政党の枠組みのままで選挙が行なわれた場合に300選挙区の当落がどうなるかを予測すると(詳しくは12月28日発売の『SAPIO』1月11・18日号参照)、増税を打ち出している野田・民主党が、多くの選挙区で敗北。そして選挙区と比例区の合計で約130議席と現在の半分以下になると予測される。
一方、自民党は約220議席まで勢力を戻し、公明党は26議席を獲得。2009年の政権交代選挙とは逆の地滑りが起き、自公で過半数に達し、再び政権交代となる可能性が出てきた。
しかし、である。2011年の秋、そこに決定的な“変数”が出現してしまった。橋下徹氏と大阪維新の会という存在である。大阪ダブル選で、既存政党が束になっても敵わなかった橋下旋風は「革命」と言われた。そして、その余震はいまだ続いている。革命を目の当たりにした一部の政治家たちの心に、火が付いているのだ。
もし、橋下・大阪維新の会が国政に打って出るなら、どうにか彼らとうまく手を組んで、一気に一大勢力に上り詰められないものか。
「大阪都構想」実現を優先するために、橋下氏自身がすぐさま国政に転じられないにしても、大阪維新の会が国政に打って出て来るならば、多くの政治家・政党が連携に手を挙げてくるだろう。
その場合、特に近畿の比例区では、再び橋下旋風が巻き起こるだろうし、ブロック全体で票数を積み上げればいい比例区であるならば、他の比例区であっても有力候補者に橋下ブランドが加わることで、一定の議席を獲得できるのではないか。
その場合は、政界再編の予兆に刺激を受けた他の新党が結成されるであろうことを加味すると、総選挙においては民主も自民も過半数を獲れない状況となり、橋下・大阪維新の会と手を組んだ政党・グループが、いきおい、キャスティングボートを握ることになりえるのだ。
※SAPIO2012年1月11・18日号