いままでの老人ホームガイドは間違っていた。それは実際に入居している高齢者に「いまの生活で一番気になるのは何ですか」と尋ねてみれば、すぐにわかったことだ。大切なのは「看護・介護体制の充実」でも「運営会社の事業経験年数」でもない。「三度のメシ」であり、「ゆったり浸かれる風呂」であり、「毎日を楽しめる遊びの質」だった。老人ホームは「日常生活の場」なのである。そのなかでも食事がおいしいという老人ホームを3つ紹介しよう。
【ライフハウス京都醒ヶ井】
(京都府京都市/事業会社:生活科学運営/5年総費用:3463万~5813万円)
献立は、栄養士の原案に入居者の意見を取り入れて毎月作り替える。厚労省の70歳以上の平均栄養基準量を参考にした「一汁三菜の家庭料理」が基本。地産地消を原則とし、可能な限り地元の業者から、京野菜など旬の地元食材を仕入れて使用している。
季節の行事やイベントも多く開催され、大鉢に料理を盛り付けた京都風のおばんざいバイキングやひな祭りメニュー、鍋料理などを、他の入居者たちと楽しむことができる。
【コンフォートガーデンあざみ野】
(神奈川県横浜市/事業会社:セコムフォート/5年総費用:8318万~9548万円)
「高齢者の心身の健康は、食事なくしてあり得ない」がコンセプト。2週間に1度、調理師、栄養士がメニュー会議を開催し、高齢者のための摂取カロリーを計算、個々の入居者に合わせた食事の内容を考えている。健康で、おいしい、飽きない料理を提供する。
【コンフォートヒルズ六甲】
(兵庫県神戸市/事業会社:セコムフォートウエスト/5年総費用:5846万~1億8256万円(一般居室、水道光熱費含まず)、3744万~6384万円(介護居室、水道光熱費含む))
入居者ごとに「食のカルテ」を作成して、好き嫌い、量の大小など嗜好に応じた食事ができる。和食と洋食とアラカルトから選択できるレストラン形式で、注文を受けてから調理を始めるので、できたてを楽しめる。天井高5メートルのダイニングからは神戸三宮の夜景が堪能できる。
※週刊ポスト2012年1月1・6日号