巨人、スティーブ・ジョブズが他界し、IT・ウェブの世界は大きな穴が開いたようだが、変革者は彼だけではない。今後もウェブは進化のスピードを加速させていくだろう。それにともない、実社会も大きく変化していく。われわれは目まぐるしく変わる世界にどう対処していくべきか。ITジャーナリストの佐々木俊尚氏が未来地図を提示する。
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2011年はテレビ、新聞、雑誌がこぞってフェイスブックやツイッターを特集で取り上げた。煽りもあって一種のブームのように捉えられて、入れ替わりが激しいように思われているが、実態は異なる。
例えば、フェイスブックの登場によってミクシィは利用者が大幅に減ったという言説があるが、ミクシィは今でも20代の女性を中心に若い男女に広く利用されている。
また、ツイッターはこの1~2年で登場したものではなく、2008年(米国では2006年)からすでにサービスが開始されている。どこを見るかによってその様相は異なってくるのだ。
今後は全員が同じメディアを利用することはあり得ない。フェイスブックやミクシィなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や動画共有サイト、ブログなど様々なソーシャルメディアごとに、集まってくる人たちが異なる。
例えば、ミクシィは前述の通り、若い男女が利用し、フェイスブックは都市部のビジネス層が中心だ。モバゲーやグリーなどソーシャルゲームは主に地方在住者が利用している。ツイッターは東日本大震災の時に情報収集ツールとして多くの人が使い始めたこともあり、世代を問わずに情報に対して関心が高い人が多い。
今後はソーシャルメディアごとに「島宇宙化」が進むだろう。また、ソーシャルメディア全体としては単なる流行ではなく、今後、より深化していくと思われる。
※SAPIO2012年1月11・18日号