国際情報

金正恩 核の小型化と米本土到達ミサイル実現で実績作り図る

金正日体制から金正恩体制へと移行を始めた北朝鮮。金正日は自らを中心に周到な管理システムを築いたが、指導者としての経験が圧倒的に不足する金正恩はどのようにそれを死守していくのか。そこに必要なのは「カリスマ性」だが、果たして金正恩がどのようにしてそれを築いていくのか…。ジャーナリスト・惠谷治氏が、カリスマ性を作り上げるべく北朝鮮がもくろむ脅威を予測する。

* * *
金正恩はまだ28歳。政治力も権力闘争の経験も圧倒的に不足しており、周囲の補佐や支持が必要不可欠だ。「核のボタン(安全装置解除コード)」は、金正日の路線を引き継ぐ先軍政治派が握っていると考えるべきである。

先軍政治派とは金正日が最も信頼を寄せた実妹・金慶喜(党政治局員)、そして生粋の軍人である朝鮮人民軍総参謀長・李英鎬を中心とグループだ。全てにおいて軍事を優先し、人民軍など武装勢力の掌握によって体制を維持しようとしている。

核のコードを握った先軍政治派が、今後どのような動きを見せるのかについて触れておきたい。

彼らが限られた資源を注ぎ込むのは「核の小型化」と「長距離弾道ミサイルの実用化」である。

これまで先軍政治派は、担ぎ上げるべき金正恩の「後継者としての実績づくり」に注力してきた。李英鎬が中心となって作戦立案した2010年の韓国・延坪島砲撃などの軍事的冒険から、今後は「指導者としての実績づくり」へと段階が変わるだろう。

祖父である故・金日成のカリスマ性の源は、抗日パルチザン活動での戦闘経験であった。金正日は核実験の成功とミサイル発射実験で父親を乗り越えた。そして金正恩がそうした業績に肩を並べるためには、北朝鮮が未だ成し遂げていない「ミサイル弾頭に据えられる核の小型化」と「アメリカ本土に到達するテポドン2号の完成」しかない。

これらの計画は粛々と続けられている。先軍政治派が実権を握ったままであれば、北朝鮮という国家は近い将来、さらなる国際社会への脅威としてその存在を誇示することになるだろう。

※SAPIO2012年1月11・18日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン