日本人の心底に染み付いた行動原理は『古事記』に源流が求められるという。叙述されて今年でちょうど1300年。かくも長きにわたって日本人の精神世界に強い影響を与える「聖典」由来の言葉を2つ紹介する。
【柏手】
神社に参拝する時に打つ柏手。『魏志倭人伝』には、柏手は貴人に対する倭人独特の作法として紹介されている。『古事記』では、国譲りの証としてオオクニヌシの長男・コトシロヌシが柏手を打つが、コトシロヌシの柏手を相撲などの手締めの起源とする説もある。
【鏡餅】
正月には欠かせない鏡餅。なぜ鏡かというと、『古事記』の天岩屋戸神話の中で天照大御神の姿を写すために作られた青銅鏡(三種の神器のひとつ)を模して作ったものだからといわれている。古来、鏡には神が宿るとされており、それを模った鏡餅は縁起物なのだ。
※週刊ポスト2012年1月13・20日号